ESGで2度もうけるリコーの戦略、社内実践で商談力を強化し支援サービスを展開製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

» 2025年12月23日 09時00分 公開
[三島一孝MONOist]
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ESGで先行する取り組みを外部に支援サービスとして展開

 リコーでは、これらのESGで先行している点を、製品やサービスの競争力にするとともに、これらのノウハウを外部に支援サービスとして展開する新規ビジネスを展開している。

 阿部氏は「グローバルではESG要求が取引要件となっているが、日本では強制力のある形での商談要件とはなっていない。逆にリコーの中堅/中小規模の顧客企業からは『どのようにESGを推進すればよいのか』という問い合わせを数多くいただいている状況だ。そこで、これらに応える支援ビジネスを展開する」と説明する。

 具体的にはESG軸での伴走支援サービスを展開する。社内実践を基に顧客企業のESG活動を支援する。具体的には、リコー社内での取り組みを示しながら、サステナビリティに関する課題を見つけ出す。その課題に対し、リコー内で解決した手法やツールを活用しながら、解決に導いていく。実際にこれらを推進する「SDGsキーパーソン」を設定し、全国で640人が活動しているという。

photo リコージャパンのESG軸の伴走支援サービス[クリックで拡大] 出所:リコー

 実際に伴走支援サービスを活用した三重県のFA設備や精密金型のメーカーである扶桑工機は、「何をすればよいのか分からない」状態から始めたSDGs活動を、リコーグループの実践事例を基にリコージャパンの支援によって、立ち上げることができたという。また、同様に脱炭素についても、リコーグループの実践事例を基に、ソリューションを用意し展開を進めている。「顧客企業の要望が最も多いのが脱炭素についての取り組みだ。6つのステップに応じた伴走支援を進めている。既に2025年9月までに2000件近い事業所での支援を行っている」と阿部氏は語る。

photo 脱炭素における伴走支援サービス[クリックで拡大] 出所:リコー

 リコーではさらにESGへの取り組みを事業に結び付けた成長を加速させていく考えだ。「今回は日本で社内実践の強みを伴走支援サービスとして展開している事例を紹介したが、この日本の事例を海外にも展開していく。ESGを成長戦略の一つとして位置付け、積極的な取り組みを進めていく」とリコー コーポレート執行役員 ESG・リスクマネジメント担当の鈴木美佳子氏は述べている。

photo ESG戦略の方向性[クリックで拡大] 出所:リコー

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