Titanは従来の水晶振動子と比較した際に、さまざまなメリットが存在する。同製品は、従来の水晶振動子ではSoC/MCUのプラスチックパッケージ内に容易に集積できないという問題を解決し、顧客の設計簡素化に貢献して利便性を向上させる。
具体的には、従来の水晶振動子で低い周波数を実現するためには、水晶のサイズを大きくしなければ対応できなかった。この課題を解決するためにSiTimeは、振動子を水晶からシリコンに変更することで周波数によってわざわざサイズを変更することなく、0505サイズの超小型パッケージのまま高い周波数から低い周波数までを対応可能にした。これにより従来では導入できなかった小型のデバイスに振動子を導入できるようにしている。
さらに水晶振動子と比べて周波数の経年劣化耐性が最大5倍向上し、耐環境性と信頼性が最大50倍も向上している。−40〜125℃までの幅広い温度に対応できるので、広い動作温度範囲が求められる分野にも導入できる。
Titanはかつてない小型化と省電力性を実現したことにより、スマートウォッチや持続血糖モニター、スマートグラスなどのウェラブル端末、補聴器や体内埋め込み型機器などの医療機器、センサーやアセットトラッカーの小型化などスマートホーム/産業用IoT機器への活用が期待できる。
また、Titanは水晶振動子と電気的互換性を持つように設計/開発しているため、顧客は振動子側の回路を全く変更する必要がないという大きなメリットも持っている。顧客の環境にTitanを導入してもらうために、現在使用しているものとサイズを比較できるインポーザー「SiT6400EB評価ボード」を用意し、1210(1.2×1.0mm)と1612(1.6×1.0mm)水晶振動子を使用した基板上でMEMS振動子の初期評価が可能である。
セヴァリア氏はTitanによる機能集積がもたらす最終製品の例として、TPMS(タイヤ空気圧監視システム)を紹介した。将来のトレンドとして振動子を含む部品の小型化を求められている中で、Titanを活用することにより、振動子を小型化できるだけではなく、余ったスペースを活用して加速度センサーや圧力センサーを1つの基板上に集積することが可能になる。同氏は「小型化によって空いたスペースと低消費電力による機能拡張の可能性は、補聴器や医療機器、IoTデバイスなど、あらゆるアプリケーションに適用できる」とTitanの汎用性を訴えた。
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