SiTimeが振動子もシリコンMEMS化、5つの周波数全てを0505サイズで提供組み込み開発ニュース(1/2 ページ)

SiTime JapanはシリコンMEMS振動子「Titan Platform」について説明。5つの発振周波数に対応する製品全てを0505サイズで提供するなどして、水晶振動子の置き換えを狙う。

» 2025年10月08日 08時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]
米国SiTimeのピユッシュ・セヴァリア氏 米国SiTimeのピユッシュ・セヴァリア氏

 SiTime Japanは2025年10月1日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、米国時間2025年9月17日に発表したシリコンMEMS(微小電子機械システム)振動子「Titan Platform」(以下、Titan)について説明した。同製品はウェラブル端末やIoT(モノのインターネット)デバイス市場をターゲットにしており、5つの発振周波数に対応予定である。現時点では発振周波数32MHzの「Titan SiT11100(32MHz)」のサンプル品を提供しており、同年12月15日には残り4つの発振周波数に対応する「Titan SiT11101(76.8MHz)」「Titan SiT11102(38.4MHz)」「Titan SiT11103(48MHz)」「Titan SiT11104(40MHz)」のサンプル提供を開始する予定だ。

 米国SiTime マーケティング担当上級副社長のピユッシュ・セヴァリア(Piyush Sevalia)氏は、「われわれは新製品のローンチに非常にワクワクしている。今回の新製品は市場でタイミングデバイスが販売される方法を変え、われわれを完全なタイミングソリューションのプロバイダーにする」と語る。

過去に例のない小型化を実現した新たなシリコン振動子「Titan」

 SiTimeは米国カリフォルニア州サンタクララに本社を置き、シリコンMEMSソリューションをはじめとした高精度なタイミングデバイスを提供し、問題解決が難しいタイミング要件に集中して事業を展開する。第6世代シリコンMEMSテクノロジーや第7世代プログラマブルアナログ回路、10種類のSiTime独自開発パッケージを提供して、業界をけん引している。

SiTimeのシリコンMEMSタイミングデバイスを構成する独自技術 SiTimeのシリコンMEMSタイミングデバイスを構成する独自技術[クリックして拡大]出所:SiTime Japan

 セヴァリア氏は「われわれは、これまでも発振器やクロックの内部にMEMS振動子を搭載していたが、今回のTitanはスタンドアロンの単独の振動子として顧客のシステムに搭載できる」と述べる。SiTimeは今まで培ってきたノウハウを生かして、40億ドルという巨大な市場規模がある振動子業界に新製品であるTitanを展開していく。同製品はあらゆるクロックツリーの起点となる基準クロックを提供するシリコンMEMS振動子であり、Bluetooth通信ICやMCU(マイコン)、SoC(System on Chip)など振動子単体の組み合わせが求められる用途に対応する。同社の第6世代MEMS技術である「FujiMEMS」を基盤として、従来の水晶タイプの振動子と比べて性能と信頼性で大きく上回るという。

タイミングデバイス全体の市場規模について タイミングデバイス全体の市場規模について[クリックして拡大]出所:SiTime Japan

 さらにTitanについてセヴァリア氏は「小型でバッテリー駆動の製品であればどんなものにでも搭載できる」と強調する。Titanは、0505サイズ(0.46×0.46mm)という肉眼で辛うじて見ることができるサイズのCSP(チップスケールパッケージ)とKGD(良品ダイ)により、プリント基板上を占める振動子の面積を従来比で4分の1〜7分の1に縮小できるとする。起動時間を3分の1まで短縮できるとともに、発振回路の消費電力を最大50%削減して省電力化にも貢献する。また、TitanはMCUやSoC、FPGAなどのプラスチックパッケージ内に集積可能である。これにより外部の水晶振動子を使う必要がなくなり、例えばMCUであれば、振動子に使っていた2本分のGPIO(汎用入出力)が他の用途に利用できるようになるとする。

「Titan」と1円玉、水晶振動子とのサイズ比較。赤線で囲んだカ所にあるのが0505サイズのTitan。黄線で囲んだ箇所には左側にTitan、右側に1210(1.2×1.0mm)サイズの水晶振動子が並んでいる 「Titan」と1円玉、水晶振動子とのサイズ比較。赤線で囲んだカ所にあるのが0505サイズのTitan。黄線で囲んだ箇所には左側にTitan、右側に1210(1.2×1.0mm)サイズの水晶振動子が並んでいる[クリックして拡大]出所:SiTime Japan
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