AI活用が鍵 パナソニック コネクトが現場から始める物流ソリューションを披露国際物流総合展2025(2/3 ページ)

» 2025年09月29日 07時15分 公開
[坪田澪樹MONOist]

属人化を排除する倉庫管理システム

 「倉庫ソリューションコーナー」では、現場に合わせて段階的な倉庫業務改革が実現できるWMS(倉庫管理システム)を披露した。アナログな現場だと、熟練の作業者が状況を見て判断を下して作業をするという、属人的な対応が求められる。近年、短期的に作業ができる人をスポットワークサービスを経由して募集する企業も増えているが、現場をきちんと標準化して誰がやっても同じ作業ができる環境にしておかないと、重大な作業ミスが発生して大きな事故につながる可能性がある。

 これらの背景からは、海外で実績のある「ベストプラクティス」と呼ばれる業務プロセスをシステムの中に実装し、長年の経験に依存しないやり方でも倉庫のオペレーションが回るようにする必要がある。パナソニック コネクトは、システムに合わせて業務プロセスを変える考え方「F2S(フィット・トゥ・スタンダード)」でソリューションの導入を進めている。

 ブルーヨンダーが展開するシステム主導型WMS「Blue Yonder's warehouse management solutions」は、AIエージェントを活用して倉庫内を効率的に管理できる。人員や荷物の場所といったデータをAIに集約し、コントロールしてもらうことで現場の状況に合わせた臨機応変な対応が可能になる。これにより、午後の業務の変化に合わせて倉庫内の優先順位を変える、作業者の位置を考慮してフォークリフトの動線を変えるといった、システムが提示した案に基づいて作業者が行動する環境を作り、倉庫内の効率性を上げることができる。日本国内ではNX・NPロジスティクスが同サービスの導入を進めており、2025年秋から稼働する予定である。

「Blue Yonder's warehouse management solutions」の概要 「Blue Yonder's warehouse management solutions」の概要[クリックして拡大]出所:パナソニック コネクト

 倉庫内を見える化して部分的なデジタル化も支援するWES(倉庫実行管理システム)としては、パナソニック コネクト傘下のゼテス(Zetes)が展開する「ZetesMedea」がある。同ソリューションは、会社にデジタル基盤を導入するための改修費用がないという顧客向けに、ピッキングや入荷作業など特定の工程のみをデジタル化できるパッケージとして展開している。月額のライセンス料を支払うことで、少ない費用で小規模な自動化からスタートできる。これにより、大企業だけではなく中小企業でも積極的にデジタル化に踏み切れるようにしている。

「ZetesMedea」の概要 「ZetesMedea」の概要[クリックして拡大]出所:パナソニック コネクト

 ZetesMedeaではオプションサービスとして、ヘッドフォンを活用して日本語が不自由な外国人の作業者にも的確な指示を出し、誰でも同じような作業ができるようにするボイスピッキングソリューション「ZetesMedea Voice Picking」や台車やハンドリフトで運ばれる荷物のバーコードを一括で読み取り、検品作業を大幅に短縮できる「ZetesMedea Camera Verification」も展開している。

 「デモンストレーションエリア」では、WESと連携させてピッキングを効率化する「自律走行搬送ロボット連携」を参考出展した。ピッキング作業リストや計画に基づき、ロボットが次に何をすればいいのかを案内してくれる。人間の作業者はロボットに追従して動くだけで、効率的にピッキング作業ができる。

参考出展した自律走行搬送ロボット連携 デモンストレーションエリアの様子 参考出展した自律走行搬送ロボット連携 デモンストレーションエリアの様子[クリックして拡大]

 この他、普段の業務でどこが問題になっているのかを確認/分析したいという顧客向けには、フォークリフトにカメラを取り付けて倉庫内の動線や荷物を持っているかどうかを判別して、倉庫内のムラ/ムダ作業を分析するツール「CYTIS Insight for Cargo」も展開している。既存のフォークリフトやリフターをそのまま活用でき、専門的な電気工事不要なため、簡単に導入できるのがポイントである。

「CYTIS Insight for Cargo」を取り付けた台車 「CYTIS Insight for Cargo」を取り付けた台車[クリックして拡大]

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