「ラムダッシュ パームイン」が絶好調 70周年を迎えるパナソニックのシェーバー事業イノベーションのレシピ(1/3 ページ)

パナソニックは、70周年を迎えた同社のシェーバー事業の戦略とモノづくりの取り組みについて説明した。

» 2025年09月18日 06時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]
パナソニック くらしアプライアンス社の南波嘉行氏 パナソニック くらしアプライアンス社の南波嘉行氏

 パナソニックは2025年9月11日、彦根工場(滋賀県彦根市)で会見を開き、70周年を迎えた同社のシェーバー事業の戦略とモノづくりの取り組みについて説明した。パナソニック くらしアプライアンス社 常務 ビューティー・パーソナルケア事業部 事業部長の南波嘉行氏は「当社のビューティー/パーソナルケア事業では『一人一人が輝く美しさと健やかさ』を掲げ、多様な商品/サービスを展開している。これからも顧客の役に立つ事業を推進していく」と述べる。

日本国内のシェーバー市場は回復傾向 高機能シェーバーが業界をけん引

 日本国内のシェーバー市場は2023年で底を打ってから販売台数が回復傾向にあり、金額ベースでも年々増加している。特に高機能シェーバーが市場をけん引しており、2025年には業界として過去最高の販売台数/売上高の更新が見込まれている。パナソニックにおいても、小型シェーバーの「ラムダッシュ パームイン」(以下、パームイン)や5枚刃/6枚刃の高機能シェーバーといった高価格モデルの売り上げが好調に推移し、2024年度の販売額は前年度と比べ35%増加している。南波氏は「当社が業界に先駆けて仕掛けてきたパームインをはじめとする小型シェーバーの需要拡大が国内では顕著となっている」と強調する。

日本国内の電気シェーバー市場について 日本国内の電気シェーバー市場について[クリックして拡大]出所:パナソニック

 パナソニックのパームインは、2023年に発売した高機能タイプの小型シェーバーである。同製品は未来の定番作りを目指し、デザイン/技術起点で開発した。同社内ではパームインを販売することで、従来品の5枚刃/6枚刃高機能シェーバーの存在意義を否定するのではないかという懸念の声もあったが、新しい提案をしていかないと変化していくライフスタイルや価値観といった顧客のニーズに応えることができないと考え、新たな製品群として展開することを決めた。

ラムダッシュ パームイン ラムダッシュ パームイン[クリックして拡大]出所:パナソニック

 デザイン/技術起点でスタートしたことについて南波氏は「従来は顧客起点で商品展開をしてきたが、最近は顧客自身が欲しいものを表現するのが難しくなっている。顧客の中に眠る潜在ニーズを掘り当ててインサイトを発見するために、これまでの顧客のニーズ思考やライフスタイルを研究して、パナソニックのデザイナーが自ら新しい発想を提示して、顧客に問いかけるという活動をした」と語る。パームインのデザイン試作を見せた際に「これは新しい」「これは面白い」という声が出たのを聞き、同製品の事業化の決心につながったという。

 小型シェーバーは従来品になかったデザインで顧客の購入意欲を向上させるとともに、SNSで情報発信/共有をしたいという客層の増加という日本国内のトレンドにも合致している。時代に合わせてライフスタイルも変化し、身だしなみに対する意識の向上や外出移動中の出先ツールとしての需要も拡大している。また、これまで男性中心だったシェーバー市場に女性や若者層の需要が加わり、プレゼント目的やT字カミソリからの転向という新たな需要も発生している。これらの背景から、国内ではパームインの売り上げが伸びている。

小型シェーバーの国内トレンド 小型シェーバーの国内トレンド[クリックして拡大]出所:パナソニック
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