Antaは、中国国内で福建省に3工場、河南省に1工場、四川省に1工場、湖南省に1工場、北京市に1工場を持ち、合計7工場が稼働している。
2006年と2007年に稼働したAnta厦門第1工場と第2工場(福建省厦門市)、そして2015年の増強をへて、現在のAnta厦門の同安工業団地は100ムー(約66万6667m2)の敷地に47の生産ラインを有している。製造している主な製品は、ANTAとFILAのフルライン製品、ハイエンドシームレス製品などとなる。
2018年12月25日にDXプロジェクトが開始されてから正式な着工まで、わずか6カ月間で100件以上の協議と40件以上の提案が行われた。50のマイルストーンが策定され、それぞれに数百ものサブプロジェクトが計画された。
プロジェクトの初期段階では、プロジェクト管理チームは中国の6つの主要スマートファクトリーを訪問し、現地の知見を習得するとともに、2カ月にわたる設備検査を実施した。Antaグループがインテリジェント製造変革に多額の投資を行っている主な理由は、複数のブランドとカテゴリーにわたる多様な製品群を活用し、グループのサプライチェーンにとって、高水準で洗練されたデータ駆動型の生産モデルを確立したいという思いからだ。この取り組みを通じ、シューズ/アパレル製造業界のインテリジェント変革を主導し、広く認められる「Antaインテリジェント製造」モデルを確立することを目指している。
Antaグループでプロジェクトを推進する上での大きな課題は、シューズ工場の生産工程における主要なデータの収集と管理だった。多くの場合、これらのデータの収集と管理は、エンジニアリング部門のエンジニアによって手作業で行われ、主に紙ベースの文書で記録されている。個々の従業員の熟練度や正確性に大きく依存しており、効率性が悪い上、データの正確性を保証することができない。何万の生産データが毎日手作業で収集、集計されており、データ管理についても労働集約的なプロセスとなっていた。経営陣は現場の生産データにリアルタイムで直接アクセスすることが難しく、データ変動へのタイムリーな調整が困難になっていた。
これらを解決し、生産プロセス全体を通してシームレスなデータ連携を実現するためには、生産設備間の相互運用性を実現することが最優先事項であった。シューズの生産プロセスには多種多様な機器の種類とブランドが関連する。同一ブランド内でも新旧のモデルが混在するため、バラバラな生産プロセスが課題となっていた。
まず、生産エリア内の機器からデータを収集するために、さまざまな産業用通信プロトコルへの適応が必要だった。レガシー機器から得られる既存のデータはビジネスニーズを満たせないことが多く、さまざまなセンサーモジュールの導入と展開が必要になった。
また、多数のデータ収集および監視ポイントが関係するため、複雑なカスタマイズソリューションが必要となった。多様なアプリケーションシナリオ、複雑なデータモデル、そして多数のデータインタフェースを統合するには、プロジェクトチーム内にデジタル技術と機器の変革に関する高度な専門知識が必要となった。これは、Antaにおいて多くのインテリジェントな変革およびアップグレードプロジェクトに共通する要件であった。
これらを踏まえ、以下のような業務プロセスの変革を行った。
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