富士フイルムと堀場製作所は、遺伝子治療薬の生産性を従来比で約100倍に高める遺伝子導入装置を共同開発した。堀場製作所が連続エレクトロポレーション技術の実装を担当し、2026年以降の装置発売を目指す。
富士フイルムは2025年8月7日、堀場製作所と共同で、遺伝子治療薬の生産性を高める遺伝子導入装置を開発したと発表した。同社が生産性を従来比約100倍に高める連続エレクトロポレーション技術を確立し、堀場製作所が実装を担当して、2026年以降の装置発売を目指す。
遺伝子治療薬は、体内に外部から遺伝子を導入して治療するバイオ医薬品で、難病治療への応用が期待されている。一方で、複雑かつ低効率な製造工程や高コストが実用化の課題となっていた。
富士フイルムが開発した連続エレクトロポレーション技術は、細胞液を送液しながら電圧を付与して細胞膜に微小な穴を開け、遺伝子を直接導入する。試薬を用いる従来法よりも効率的に遺伝子を導入でき、連続フローシステムのため生産量の調整も可能だ。これまでのバッチ処理法に比べ、最大約100倍の生産性で遺伝子治療薬の製造に対応する。
装置の設計、製造は堀場製作所が担い、遺伝子治療薬の需要が高い欧米を中心に販売する。両社はライフサイエンス分野などで協力関係にあり、2023年より同装置の開発プロジェクトを開始。今後は、同技術を通じて製造コストの低減と普及促進を図り、治療法が見つかっていないアンメットメディカルニーズの解決に貢献したいとしている。
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