この玩具の最大の特徴は、電池やモーターを一切使っていないことです。動力源となるのは、本体側面のツマミを巻くことでエネルギーを蓄えるゼンマイバネになります。
ゼンマイ部分には連動して動くプラスチックギアが配置されており、このギアと回転盤の外周に付いている歯車の歯形がかみ合い、ゼンマイバネの戻る力を利用して、一定速度で回転盤を動かします(図4)。回転動作は非常にスムーズで、途中で急に止まったり、速くなったりすることはなく、安定した動作を実現しています。
電池やモーターを使わずに、繰り返し何度でも遊べる耐久性を備えたこの駆動系は、限られた予算の中で設計された製品として非常に優秀といえるでしょう。
魚の口がパクパクと動く仕組みはどうでしょうか。バネなどの機構を使っているように思われるかもしれませんが、実際には一切バネを使用していません。
その代わりに使われているのが、本体ベースに設けられた傾斜です(図5)。これは波形カムのような役割を果たしており、魚パーツの底面にある軸がこの傾斜に沿って上下することで、魚の頭部が傾き、口が自然と開閉する仕組みになっています。
イメージしやすいように、展開図で魚パーツの動きを確認してみましょう(図6)。
まず、傾斜の手前では、魚パーツは口部分が回転盤に引っ掛かり、ぶら下がった状態で回転方向に移動していきます。
傾斜に差し掛かると、魚パーツが傾斜に沿って少しずつ持ち上がっていきます。すると、魚パーツの口が自重によって徐々に開き、傾斜の最も高い位置で口が完全に開き切ります。
そして、傾斜の最も高い位置を過ぎると、魚パーツは傾斜から外れて、再び回転盤に口部分が引っ掛かり、ぶら下がった状態(口が閉じた状態)となります。
回転盤が動いている間、この動作を繰り返すことで、魚パーツはまるで生きているかのようにテンポよく口をパクパクと開閉させます。
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