ITRは、米国の相互関税政策による国内企業のIT戦略に与える影響についての調査結果を発表した。業績悪化を懸念する声が多数を占め、特に自動車業界では9割が影響を深刻視する結果となった。
調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)は2025年5月13日、米国の相互関税政策(通称:トランプ関税)による国内企業のIT戦略に与える影響についての調査結果を発表した。業績悪化を懸念する声が多数を占め、特に自動車業界では9割が影響を深刻視する結果となった。
ITRによる今回の調査は、IT戦略に関与する国内企業の課長職以上を対象に、2025年4月22〜24日にかけてWeb経由で実施されたもので、有効回答数は1271件を集めた。
米国のトランプ政権による追加関税政策を受けて、「自社の業績が大幅またはやや悪化する」と回答した企業は全体の71%に達した。中でも自動車製造業ではその割合が90%に上り、特に強い懸念を抱いている実態が浮き彫りとなった。
また、トランプ関税がIT/DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の進展に与える影響についても、「大きく減速する」「やや減速する」と答えた企業は60%に上り、関税による負担がIT分野にも広がっている。
IT予算や中期計画についても見直しの動きが進んでいる。2025年度のIT予算については、「見直し済み」(4%)、「検討中」(14%)、「今後見直す可能性がある」(26%)の合計で44%が何らかの形で当初予算を変更する可能性が生まれている。さらに2026年度の予算では、「見直し済み」(3%)、「検討中」(17%)、「見直しの可能性」(38%)を合わせて58%に達し、翌年度への影響が一層深刻化する見通しだ。
IT中期計画についても同様に、58%の企業が何らかの見直しを検討または実施しており、短期のみならず中長期の戦略にも再考が迫られている。
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