「JIS B 0621:1984 幾何偏差の定義及び表示」(以下、JIS)によると、“データム直線、データム平面に対して平行な幾何学的直線または幾何学的平面からの平行であるべき直線形体または平面形体の狂いの大きさ”と定義されています。
平面といっても、表面には凹凸があります。その最も高い部分と最も低い部分が、上下に離れた2つの平面の間に挟まれた一定距離[mm]の中に収まっていることを定義します。データムが不要な単独形体の形状公差である平面度とは異なり、「2つの平面を規定するための基準面」がデータムとして存在する点が特徴です。
この平行度の適用には複数のパターンがあります。図2にまとめてみました。
この分類の中でも、筆者が最も使用経験のある「直線形体または平面形体のデータム平面に対する平行度」について説明します。
言葉だけではイメージしにくいかもしれませんが、次の図(図3)を見れば「このことか!」と分かるはずです。ここでは、データムA面に対して50mm離れた面が、A面に平行な2平面の間隔0.1mm以内に収まること(収まってほしいこと)を図示しています。
この状態をJIS規定で示すと、図4のようになります。
初心者でも分かりやすいように、本の表紙とページの関係で考えてみます。ハードカバーの本を想像してみてください。
本の表紙が本の裏表紙を基準にして、決められた平行2面間の距離内に収まっているかどうか――この距離を設定するのが平行度です。
平行度の測定方法ですが、3次元測定器を使用する方法の他に、定盤上に測定対象物(ワーク)を置き、ダイヤルゲージやハイトゲージを用いて測定する方法が一般的です。このとき、測定値における「最小値と最大値の最大差」が平行度となります。
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