次に、用途開発マーケティングをどのように進めていくべきかを具体的に見ていきます。一般的なマーケティングとは大きく進め方が異なるため、そのポイントを押さえることが成功への近道です。
一般的なマーケティングでは、最初に想定したターゲットへ効率的にリーチし、興味を持ってもらうことを主眼に置きます。しかし用途開発マーケティングでは、現在想定できていない新たなターゲットの開拓が目的なので、従来のターゲット型アプローチでは目的を達成できません。想定外の分野へ技術を届けるためには、情報の届け方に工夫が必要となります。そのために必要なのが「技術の棚卸し」です。
用途開発マーケティングの最重要ポイントは「技術の棚卸し」にあります。ターゲットが決まっている場合は解決する課題や求められる機能がはっきりしているため、アプローチはシンプルなものになります。しかしターゲットが不明瞭な場合、どの側面に価値を見いだしてくれるのかが分かりません。そこで、機能/課題/価値/原理/競合技術など技術を多面的に分解して情報発信することで、技術者がさまざまな切り口で行う情報探索に対応し、自社技術を見つけてもらえる確率を高められます。
具体的な進め方としては、MFTフレームワークなどを活用しながら技術の棚卸しをした上でWebコンテンツを企画/制作していきます。MFTフレークワークは、市場と技術の間に位置する機能に注目することで、技術の活用が可能な市場を幅広く検討できるフレームワークです。通常は、自社技術の用途仮説を考える際に使用するフレームワークですが、今回では多方面から情報を発信するための技術の棚卸しツールとして活用します。
MFTフレークワークを使い、技術を要素分解したうえでWebコンテンツを企画/作成することで、未知のニーズを持つ企業や研究者に自社技術を見つけてもらえるようになります。
上図のように、技術(Technology)は、自社技術に加え、その原理/メカニズム、さらには競合や類似技術まで要素展開するとよいでしょう。機能(Function)は、自社技術を通じて提供可能な価値や解決できる課題まで広げて考えます。市場(Market)では、現在の用途(市場)にとどまらず、将来的に活用が期待できる分野や、競合が押さえている市場まで視野を広げることが重要です。
このように、MFTを基に技術の棚卸しをすることで、技術者がどのような視点で情報探索をしても自社技術にたどり着く可能性を高めることができます。
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