バッシ氏の次に登壇したのは、ダッソー・システムズ SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏だ。同氏は「IMAGINE EXPERIENCE CREATE(想像、体験、そして創造を)」というタイトルで、技術的な側面からSOLIDWORKSの将来ビジョンについて語った。
クマー氏のプレゼンテーションも、3DEXPERIENCE Worksがもたらす(SOLIDWORKSユーザーにとっての)価値の説明から入った。「ダッソー・システムズが提供する12のブランド(SIMULIA、ENOVIA、DELMIAなど)は全て3DEXPERIENCEプラットフォームという統合された基盤でつながっており、ユーザーが必要とするあらゆる機能を提供している。そして、それをSOLIDWORKSユーザーに対して分かりやすい形で提供するものが3DEXPERIENCE Worksだ。設計からシミュレーション、製造、マーケティング、ガバナンスに至るまで、増大するあらゆるニーズに応え、限界なく成長することができる」(クマー氏)。
続いて、クマー氏はSOLIDWORKSの進化について言及。現役のエンジニアに対し、30年前にリリースされた「SOLIDWORKS 95」(仮想マシン上で動作)と、同社のWebブラウザベースの設計ツール「xDesign」を用いて簡単な設計をさせたところ、SOLIDWORKS 95ではスケッチを1つ描き上げるのに30分以上かかったのに対し、xDesignではそれよりも優れた設計をわずか90秒で完成させたという。「われわれは、CPUやGPU性能の向上や技術進歩とともに長年にわたる継続的な改善を行ってきた。新しいバージョンが登場するたびに生産性が向上するのはそのためだ。こうした進化の旅は終わることがない」(クマー氏)。
長年にわたる継続的な改善のベースとなっているのが“ユーザーの声”だという。「われわれはSOLIDWORKSユーザーからの直接のフィードバックに基づき、価値を探求し、改善し、それを提供する義務がある。同時に、クラウドコンピューティング、データマイニング、AI(人工知能)といった最新技術を活用し、迅速にイノベーション創出につながる画期的な価値を届ける必要があると考えている。そのために多くの投資を行っている」とクマー氏は説明する。
そして、このようなユーザー要求に基づく改善や最新テクノロジーの恩恵をいち早く届けるために、SOLIDWORKSでは従来のように主要な機能アップデートを年1回のメジャーアップデート版にまとめて盛り込むのではなく、年数回提供されるService Packの中に新機能を順次盛り込んで提供する方針に変更。この方針に基づき、「SOLIDWORKS 2024」から先日発表された「SOLIDWORKS 2025」に至るまでの間に、200以上の新機能が段階的に提供されていったという。
さらに大きな変更点として、新パッケージとなる「SOLIDWORKS Ultimate」についても紹介した。Ultimateは既存のStandard、Professional、Premiumのさらに上の最上位グレードとなり、SOLIDWORKS Premiumと3DEXPERIENCE Worksポートフォリオが提供する複数のロール(製品)をまとめて提供する。想定ユーザーは設計領域を超えた製品開発プロセス全体をカバーする“パワーユーザー”だという。「もはやサイロ化された環境で製品設計を行う人はいない。設計とは本質的に共同作業(コラボレーション)であり、これは将来さらに重要になる」(クマー氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.