衛星画像からの物体検知を可能にするオンボードAI物体検知機を開発人工知能ニュース

三菱重工業は、次世代宇宙用MPU「SOISOC4」を利用し、衛星画像からの物体検知を可能にするAI物体検知機「AIRIS」を開発した。2025年度中に打ち上げられる小型実証衛星4号機に搭載し、AI動作などを実証する。

» 2024年03月22日 14時00分 公開
[MONOist]

 三菱重工業は2024年3月6日、次世代宇宙用MPU「SOISOC4」を利用し、衛星画像からの物体検知を可能にするオンボードAI(人工知能)物体検知機「AIRIS(アイリス)」を発表した。

 AIRISは、AIを組み込んだデータ処理装置と、東京理科大学が開発した地球観測カメラから成る。地球上の物体を軌道上から撮影し、その画像をAIが解析して物体を検知する衛星搭載機器だ。軌道上でAIによる検知処理が可能なため、画像の中で目的の物体が映る領域のみを地上に送信し、地上で再学習したAIがそのデータを軌道上のAIに送信してアップデートするというサイクルを確立できる。

キャプション 左:「AIRIS」を構成するデータ処理装置、右:地球観測カメラ[クリックで拡大] 出所:三菱重工業
キャプション 「AIRIS」が実証する一連のサイクル[クリックで拡大] 出所:三菱重工業

 AIRISの動作制御には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発を進める次世代宇宙用MPU「SOISOC4」を用いる。SOISOC4は、先端SOI技術とSOC設計技術に基づいて製造された国産マイクロプロセッサで、優れた耐放射線性、多様な通信機能、セキュリティ機能および低消費電力での動作を特長とする。

 三菱重工業は、JAXAが2025年度中に打ち上げを予定している「革新的衛星技術実証4号機」にAIRISを搭載する。打ち上げ後は、軌道上実証にてAIRISでのAI動作実証やSOISOC4の軌道上デモンストレーションを実施する。

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