Hexagon Manufacturing Intelligence 事業部が主催したWebセミナー「製品設計から離れたCAD業務 川下工程で本当に必要とされるシステムとは?」の模様をダイジェストで紹介する。
Hexagon Manufacturing Intelligence 事業部は2024年3月13日、Webセミナー「製品設計から離れたCAD業務 川下工程で本当に必要とされるシステムとは?」を開催した。
川下工程に当たる製造現場では、金型設計、治具設計、CAM向け3Dモデル修正、計測プログラム用モデル修正など、川上工程(製品設計)とは異なるさまざまなCAD業務が行われているが、「それにもかかわらず、製品設計と同じ3D CADが使われているケースが多い」(同社)という。
こうした実情を踏まえ、同セミナーでは川下工程に適した3D CADとはどのようなものか? について言及するとともに、Hexagonの3D CADソフトウェア「DESIGNER」によるアプローチと活用イメージを紹介した。
まず、川上工程に当たる製品設計で主流の3D CADについて、そのほとんどが履歴の残るヒストリーベース(フィーチャーベース)CADであり、「SOLIDWORKS」「CATIA」「NX」「Creo」「iCAD」「Inventor」「Solid Edge」などが挙げられるとした上で、「ヒストリーベースCADは履歴が残るため、設計意図の共有がしやすい」と製品設計に適したCADであることを紹介した。
また、モデル作成後でもパラメーター(ジオメトリーの寸法、押し出し、断面などの情報)の数値を変更することで形状変更が可能な点や、1つのパラメーターに複数の寸法を持たせられるコンフィギュレーションの活用によって派生部品の作成が容易にできる点などもヒストリーベースCADのメリットだとする。
セミナーでは、ヒストリーベースCADによるパラメトリックモデリングの様子を映像で紹介。履歴から形状変更したいフィーチャーを選択して数値を確認したり、変更したりできる点や、参照関係を付与しておけば、参照元の部品が変更されると、参照先の部品も自動更新される点などを説明した。また、仮に変更後のモデルが意図とは違う形になってしまっても、「寸法や拘束を修正することで意図に沿ったモデルに変更できる」(同社)ことを紹介していた。
以上のような特長を説明した上で、同社は「製品の設計段階では寸法が変更される頻度が高いため、寸法を変えたら形状が変わるヒストリーベースCADは、製品設計で使いやすい3D CADだといえる」との考えを示した。
冒頭に述べた通り、異なるCAD業務であるにもかかわらず、川下工程にあたる製造現場では、製品設計(川上工程)と同じ3D CAD、すなわちヒストリーベースCADが用いられているケースが多いという。
こうした実情に対して、同社が推奨するのはノンヒストリーベースCADによるダイレクトモデリングのアプローチだ。
セミナーでは、「製造現場で一からモデリングすることはない」「CAD業務は思っている以上に時間を要する」「紙図面、DXF、3Dモデル、設計部による設計モデルなど、いろいろなCADデータに対応しなければならない」といった製造現場におけるCAD業務の状況を紹介した上で、川下工程でヒストリーベースCADが使われている理由を5つ挙げた。
理由の1つ目は「川上工程と同じCADで安心だから」、2つ目は「社内で利用するCADが決まっているから」、3つ目は「どのような業務でもそのCADが使いやすいと理解しているから」、4つ目は「新規にCADを習得するのは大変だから」、5つ目は「価格、口コミ、シェア、知名度、将来性、操作性、パフォーマンスなど総合的に評価して導入しているから」である。
これらの理由に基づいて、川下工程でヒストリーベースCADが使われている実情があるのだが、実際に川上工程からの設計データを製造現場で扱うケースでは「他人が作成した履歴は分かりにくく修正しづらい」「意図していない形状に勝手に変わってしまう」「時々エラーが多発して修正できない」「寸法を変更しても形状がついてこないことがある」といった課題があるという。
以上のような背景を踏まえた上で、同社は「本当に製造現場でヒストリーベースCADは必要なのか?」と投げ掛け、「一からモデリングしないのであればヒストリーベースCADである必要性はないのでは?」「(ダイレクトモデリングなら)モデリング工数を短縮できるのでは?」「もっと適したCADがあるのではないか?」と訴える。
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