泥臭く人間味のある舞台裏はなぜ人を引き付けるのかオートモーティブメルマガ 編集後記

自分の手元に届くまでに誰がどうやって仕事をしているのか、それを知ることは楽しいですよね。

» 2024年02月21日 13時30分 公開
[齊藤由希MONOist]

 この記事は、2024年2月21日発行の「オートモーティブ メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。


泥臭く人間味のある舞台裏はなぜ人を引き付けるのか

 モノを作れる人っていいなあ、と憧れるような、うらやましいような気持ちがずっとあります。デザイン、研究、設計開発、製造など、いずれについてもそう思います。スマートフォンやPC、服、家電、料理、建物でも、作る人たちはすごいです。私は自動車担当なので、クルマはその筆頭です。

 憧れが生まれたのは、社会人になって取材に行くようになってからです。それまでは誰がどのようにモノを作り、どうやって手元に来たのか考えたことはありませんでした。社会人になって最初に担当したのは自動車部品メーカーでしたが、道行くクルマ全てに3万点ともいわれる部品が使われており、その部品の1つ1つにたくさんの会社と人がかかわっていることを認識してぼうぜんとしたのを覚えてます。その上で魅力や個性のあるクルマが生まれてきたと思うと、それはそれは感慨深かったです。

 故障しないでちゃんと動くとか、扱いやすいとか、長く使えるとか、消費者にとってのそんな“当たり前”の裏に多くの人々の尽力や試行錯誤があることも、取材に行くようになってから理解しました。特別なメンテナンスをしたり、気を遣って扱ったりしなくても不自由なく動くモノは、身の回りにたくさんあるように感じられます。どうしようもなく使いにくく簡単に壊れてしまうモノに遭遇することはほとんどなく、不自由なく使えて当然だと心のどこかで思っていました。それが決して当たり前のことではなく、実現するために舞台裏で奔走する人たちがいると知って身の回りにあるモノの見え方が少し変わりました。

 私はその“舞台裏”に魅了されているのです。舞台裏を知らなくてもモノを使う上で困ることは全くありませんし、舞台裏を知っているからといってモノを使う上で有利になることもそんなにありません。でも、舞台裏を知ることで満たされる何かがあるのです。

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