一方、個人情報保護の分野では、本連載第94回で取り上げたように、カナダ・プライバシー・コミッショナー事務局(OPC)が2023年4月4日、「ChatGPT」に関する調査を開始したことを発表した。その後OPCは、同年12月7日、「責任ある信頼されたプライバシーを保護する生成AI技術のための原則」を公表している(関連情報)。本原則は、生成AIを開発、提供、利用する組織が、主要なカナダのプライバシー原則を適用する際に役立てることを目的として、カナダ連邦政府および各州/準州レベルのプライバシー保護当局が共同で策定したものである。主な対象読者として、(1)生成AIシステムの開発者/プロバイダーと、(2)生成AIを利用する組織を想定している。
本原則では、表4に示す通り、生成AIシステムの開発、準備、利用のための原則として9項目を掲げている。
表4 生成AIシステムの開発、準備、利用のためのプライバシー保護原則[クリックで拡大] 出所:Office of the Privacy Commissioner of Canada (OPC)「Principles for responsible, trustworthy and privacy-protective generative AI technologies」(2023年12月7日更新)を基にヘルスケアクラウド研究会作成そして、個々の原則について、全ての主体、生成AIシステムの開発者/プロバイダー、生成AIを利用する組織のそれぞれが順守すべき事項やベストプラクティスを提示している。
例えば、「説明責任」の原則では以下のような留意事項を挙げている。
なおカナダでは、2022年6月16日、カナダ連邦議会に「2022年デジタル憲章実施法案」の一部として「人工知能・データ法(AIDA)」提案が上程されており、現在も審議が続いている(関連情報)。このような流れをくむ形で、2023年9月、イノベーション・科学経済開発省が「高度生成AIシステムの責任ある開発と管理に関する自主行動規範」を公表する(関連情報)など、いわゆるハードローおよびソフトローの両面から、生成AIに関する制度的仕組みづくりが進んでいる。
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