オムロンは、製造現場における脱炭素化への取り組みを紹介するとともに、製品サプライチェーンのカーボンフットプリントの見える化に向けた実証実験を開始したことを発表した。実証実験では、グローバルデータ流通基盤「Catena-X」にも接続する計画だという。
オムロンは2024年1月29日、製造現場における脱炭素化への取り組みを紹介するとともに、製品サプライチェーンのカーボンフットプリントの見える化に向けた実証実験を開始したことを発表した。実証実験では、グローバルデータ流通基盤「Catena-X」にも接続する計画だという。
オムロン インダストリアルオートメーションビジネスカンパニー 商品事業本部 i-Automation!事業推進センター長の山川健太氏は「製造業はCO2排出量全体の4分の1を占めており、特に脱炭素化への要求を受ける産業だ。その中で生産活動におけるエネルギー生産性の向上は必須となっている」と語る。
こうした状況を踏まえ、オムロンは2022年11月にエネルギー効率に関する国際イニシアチブ「EP100」に加入し、製造現場起点でのエネルギー生産性の向上への取り組みを進めている。EP100は事業のエネルギー効率を倍増させることを目標に掲げており、単純なCO2排出量削減だけでなく、同じエネルギー当たりでの生産性を高めていくことを目指すものだ。
エネルギー生産性の向上を進めていく中で製造業にとって重要になるのが、製造現場での取り組みだ。オムロンでは、松阪事業所などいくつかの拠点をモデル工場として取り組みを進めている。「製造現場起点でエネルギー生産性を高めるためには、エネルギー指標データとともに、生産/品質データを同じ時刻データとして照らし合わせながら改善を進めていくことが重要となる。これらのデータ分析により生産性を高めながらエネルギー消費量を減らすことができる。松阪事業所では実際にエネルギー生産性を1.75倍に高めることができた」と山川氏は語っている。
一方で、欧州ではカーボンフットプリントなど環境関連のデータを示す要求が高まっており、規制の厳格化なども進み始めている。こうした動きに対応するために、オムロンでは製造現場の実測データを生かしながら、従来のエネルギー使用契約などに基づいた「企業単位」ではなく「製品単位」でのカーボンフットプリント情報の開示を進める方針を示す。具体的には、スイッチングパワーサプライ、上腕式血圧計、パワーリレーを対象製品と定め、サプライヤーの協力を得ながら、情報開示を行えるように準備を進めているという。
ただ、自社内でこうした取り組みを進めるにはさまざまな課題があるという。山川氏は「自社で取り組みを進めてみて、これらが非常に大変であることが分かった。まず情報収集の工数が膨大になり、習熟したとしても1機種当たり2〜3週間はかかる。全ての製品でこれらを行うことを考えるととても現実的ではない。さらに算定プロセスまでに力尽きて、実際に改善活動まで手が回らない。これらを何とかする必要があると考えた」と考えを述べる。
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