MONOist Bio オンラインLCの構造について教えてください。
林氏 Bio オンラインLCは、オンラインサンプルマネージャーや通常のHPLCにも使われている分析ポンプ、分析カラム、検出器などから成る。オンラインサンプルマネージャーは、反応槽から反応溶液を吸引し分析ポンプあるいは分析カラムおよび検出器に送る役割を果たし、オンラインLCで最重要なモジュールだ。
オンラインサンプルマネージャーによる反応槽からの反応溶液の吸引や分析カラムなどへの注入では反応槽ストリーム用バルブと分析フロー用バルブを活用している。両バルブには6つのドアとしてポート1〜6を設けた。
反応槽ストリーム用バルブのポート1は反応槽の反応溶液が通る入り口として機能し、ポート6は出口で反応溶液を製造ラインに排出する。反応溶液を分析ポンプや分析カラムに送る際には反応槽ストリーム用バルブのポート5が開き、ポート5から反応溶液が注入ポートを介して、分析フロー用バルブのポート5に送られる。その後、反応溶液が分析フロー用バルブのポート5からポート6を通して分析カラムに注入される。
MONOist Bio オンラインLCが対応するサンプリング方法について教えてください。
林氏 「バイアルに封入した反応溶液の直接注入」「反応槽からの直接注入」に対応する。加えて、反応槽から採取しバイアルに入れた反応溶液を希釈溶媒で希釈してから注入する方法にも応じる。さらに、反応槽から採取しバイアルに封入した反応溶液の一部を注入することにも対応している。
これらの手法でサンプリングされた反応溶媒は、Bio オンラインLCに搭載されたオンラインLCモニタリングソフトウェアのトレンドプロットにより分析され経時変化を確かめられる。
トレンドプロットでは、時間と収量に合わせて、反応溶液の開始物や生成物における変化の度合いをグラフで可視化する他、分析が完了したデータを瞬時に反映するため、反応の推移をリアルタイムに確認できる。これにより、研究/開発の担当者は、重要工程パラメーター(CPP)および重要品質特性(CQA)を迅速に確かめられるようになり、スピーディーなプロセスの理解と管理を実現する。
オンラインLCモニタリングソフトウェアは、サンプルのスケジューリングや前処理、メソッドの作成と実行、データの視覚化、レポートの作成に対応し、直接あるいはOPC UA(Unified Architecture)のインタフェースを介して分析を実行する。OPC UAは国際標準のIEC 62541をベースにした分析機器、ラボ用機器、アプリケーションがデータ交換などを行うための情報モデルで、ラボでの一連のワークフローを自動的に進めるために必要な情報と実行機能を統一したアーキテクチャだ。
MONOist 今後の展開について教えてください。
林氏 今後は、流路に低吸着の素材であるMP35Nを利用している点を生かし、オリゴ核酸などの生体分子の分析を行っているユーザーにBio オンラインLCを提案していく。
また、当社のラボである Hachioji Center of Excellence(東京都八王子市)には、Bio オンラインLCと同様のリアルタイムモニタリング機能を持つHPLC「1260 Infinity II Prime オンラインLCシステム」を設置している。そのため、希望するユーザーには、1260 Infinity II Prime オンラインLCシステムのデモンストレーションなどを披露することでリアルタイムモニタリング機能の有用性を理解してもらい、Bio オンラインLCの訴求にもつなげていく。
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