製品を修理して長く使うには、スペアパーツの安全性の証明が必要だ車載半導体

インフィニオンがサーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する認証ソリューション「OPTIGA」やサーキュラーエコノミーへの取り組みについて紹介した。

» 2023年10月02日 06時00分 公開
[齊藤由希MONOist]

 インフィニオン(Infineon Technologies)は2023年9月25日(現地時間)、オンラインでメディア向けに説明会を開き、サーキュラーエコノミー(循環型経済)に貢献する認証ソリューション「OPTIGA」やサーキュラーエコノミーへの取り組みについて紹介した。

 これまでの経済は、資源の採掘や商品の生産、流通、消費、廃棄の規模を拡大しながら成長してきた。これが資源の過剰採掘や廃棄物を生み、海洋汚染や大量の埋め立てにつながってきたという。サーキュラーエコノミーは、製品のライフサイクルを延長することでバリューチェーンの中で資源をできるだけ長く循環させ、廃棄物の発生や過剰な資源採掘を抑制して気候変動に対抗する取り組みだ。

 これに向けて、Reduce(リデュース)、Reliability(信頼性)、Repair(修理)、Reuse(再利用)、Refurbish(改修)、Recycle(リサイクル)の6つのR(6R)が重要であるという。インフィニオンがかかわるエレクトロニクス産業は多くの廃棄物を発生させている産業の1つだ。2021年には推定5740万トンの廃棄物が生まれ、廃棄には早かった製品や原材料が600億ドル近く含まれているという。しかし、リサイクル率はグローバルでも20%未満にとどまっている。

サーキュラーエコノミーとは[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 インフィニオンのOPTIGAは、スマートフォンやPC、電動工具、電気自動車(EV)などさまざまな電子デバイスに対し、信頼性の高いスペアパーツの認証に貢献し、修理しながら長く使うことを実現する。電動スクーターを例にすると、ホスト側の車両本体とクライアント側のバッテリーの両方にOPTIGAのチップが搭載されていれば相互に通信して認証し、車両本体でバッテリーがオリジナルであることや規格に準拠していることが確認できるようになる。偽造品であれば、エンドユーザーのデバイスの安全を脅かす可能性があるとして警告を発することもできる。

 認証プロセスは証明書やキー、暗号化タスクの交換によって管理される。シングルチップソリューションなので、製品にチップを追加し、ホスト側のソフトウェアで処理を行うシンプルな構成であるという。

認証のプロセス[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

 オリジナルの製品やスペアパーツの真正性が検証できることで、エンドユーザーは安全性や品質、性能基準を満たした修理を行うことができる。偽造品など不正なスペアパーツの流通に対抗することも可能だ。スペアパーツの需要増加による市場開拓が期待できるとしている。

エレクトロニクス産業の共同研究プロジェクトも発足

 欧州での「修理する権利」は、消費者がスペアパーツを入手する権利を持つだけでなく、専門家でなくても修理できることも求めている。そのため、メーカーは製品保証サービスを満たしながらスペアパーツを提供するとともに、ブランドの品質や知的財産を保護しながらエンドユーザーの安全も守る必要がある。

 サーキュラーエコノミーに関連した修理する権利に関する規制は、欧州グリーンディールだけでなくさまざまな国で持続可能性の確保に向けた国家プログラムとして推進されている。

 また、エレクトロニクス産業に関してはEU16カ国の50のパートナーによる共同研究プロジェクトEECONE(European ECOsystem for green Electronics)が2023年7月に発足し、バリューチェーン全体を巻き込んだサーキュラーエコノミーの実現を目指している。インフィニオンも参加している。エコデザインガイドラインに基づき製品寿命を延ばしてエレクトロニクス関連の廃棄物の量を減らすこと、廃棄物が環境に与える影響を抑制するための材料の見直しや交換、電子部品の再利用、リサイクル、廃棄物の価値化による循環性の向上に取り組む。

 EECONEは回収率の向上やリサイクル工程の改善だけでなく、リサイクルを阻害するような設計を回避するため、製造とリサイクルが連携する必要があると指摘。設計の初期段階で製品のライフサイクルの終わりを管理するソリューションを組み込むべきだとしている。

サーキュラーエコノミーでメーカーに求められること[クリックで拡大] 出所:インフィニオン

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