イタリアの有名なオペラ作曲家、ジュゼッペ・ヴェルディの代表作が「リゴレット」です。その中の有名な一節が「風の中の羽根のように、いつも変わる女心」ですね。このタイプの上司は、指示内容がコロコロ変わります。例えば、設計工程で、「シングルスレッドで検討して」といった次には、「マルチスレッドで検討しているよね」と指示が変わります。
筆者も人のことはいえませんが、原因は記憶力の欠如です(と信じたい)。残念ながら時間が経つにつれて、過去の指示が消えます(休暇を挟んだ場合は顕著になります)。結果、その場のノリの指示が作業者を混乱させてしまうのでしょう。
部下は、作業の方針がころころ変わるため、非常に苦労します。特に、「昨日、シングルスレッドって言ったよなぁ」なんて口が裂けても言えません。結果、常に、モヤモヤ感が満載で作業することになります。
このタイプは、感情的になり人間的に理不尽な対応をするタイプです。例えば、部下が質問をすると「そんなことをいちいち聞きに来るな」「そんなことも分からないのか」と雑な対応をします。
普段は、理不尽ではない(と信じたい)のですが、切羽詰まると自身の怒りを制御できません。そんな時に、「Wordの使い方が分からないんですが……」「見積もりの提出って今日まででしたっけ?」と基本的な質問を受けると、「オレの時間を奪うんじゃない」と思ってしまうようです。ただ、業務が終わると、「あの時、言いすぎたな。フォローしなきゃ」なんて繊細な一面もあります。
こちらから作業内容のすり合わせをしようとすると、「全然ダメ、こんなことも分からんのか?」となるため、上司への相談回数が減ります。結果、作業指示を自分の都合の良いように解釈して進めるしかありません。
今回は、「働き方を工夫する」をテーマとして、上司からの困った作業指示を5タイプ紹介しました。他にもあるでしょうが、皆さんも心当たりあるものも多かったのではないでしょうか。
集団作業では、上司の何気ない作業指示が部下の作業に大きく影響することが少なくありません。カオス理論の「バタフライ効果」を聞いたことがある人も多いと思います。「北京で蝶が羽ばたくとニューヨークで嵐が起きる」というもので、通常なら無視しうる誤差が蓄積すると、将来、大きな差となる現象を意味します。上司の指示で発生する「バタフライ効果」を避けるためにも、業務効率化の観点からも今回の話を取り入れて、より良い業務を目指していただければと思います。
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東海大学 大学院 組込み技術研究科 非常勤講師(工学博士)
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