他方、医療情報交換に欠かせないアイデンティティー管理に関連して、中国・北京大学のヤン・チュアン氏らの研究チームは、2023年3月15日、Computers in Biology and Medicine誌において、「ブロックチェーン技術を利用した医療情報交換向け非代替性患者トークン化により強化された自己主権型アイデンティティー」(関連情報)と題する論文を発表した。この論文は以下のような構成となっている。
本研究では、(1)NFT生成のための生成モジュール、(2)ローカルの患者のアカウントをNFTにリンク付けするためのリンケージモジュール、(3)患者が医療提供者に対してトークンへのアクセスを許可することを可能にする認証モジュール、(4)医療情報交換(HIE)プロセスおよびSSI経由でトークンの正当性を検証するプロセスに関与する交換モジュールの4つを含むブロックチェーンアーキテクチャを開発し、このアーキテクチャ上でケーススタディーを実施している。
このアーキテクチャでは、以下の通り、ブロックチェーンにおける3つのタイプのノードを定義している。
本研究では、SSIで実現するNFTベースの患者トークン化のためのアーキテクチャ設計/実装およびケーススタディーを実施した結果、NFTを利用したセキュアで透明性がある、患者中心のアイデンティティー管理や医療情報交換の実現可能性や潜在力が示されたと結論づけている。
なお、NFTに関連して注目を浴びているものに、分散型自律組織(DAO)がある。医療分野におけるDAO適用に関連して、ポルトガル・アレンテージョ科学技術パーク(PACT)のサラ・マテウス氏らの研究チームは、2023年1月2日、California Management Review誌において、「分散型自律組織(DAO)は医療に革命を起こせるか?」(関連情報)と題する記事を発表している。
表3は、医療領域におけるDAOの例を挙げたものである。
本記事では、医療領域におけるDAOの機会として、以下のような点を挙げている。
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