東芝と東芝デジタルソリューションズは高速道路の路面の穴をリアルタイムかつ高精度に検知する「路面変状検知AI」を開発した。
東芝と東芝デジタルソリューションズは2023年9月12日、高速道路の路面の穴(ポットホール)をリアルタイムかつ高精度に検知する「路面変状検知AI」を開発したと発表した。
中日本高速道路(NEXCO中日本)と共同で技術の実証を行い、高速道路の日常点検の迅速化や高度化に向けた有効性を確かめた。東芝のアナリティクスAI(人工知能)基盤のサービスとして2024年度に実用化する。
開発した路面変状検知AIは、ポットホールの検知に弱教師学習の手法を適用した。画像の路面変状の有無を選別して学習するだけで画像内の路面変状の位置を推定できるようにした。弱教師学習の採用により、画像1枚当たりの教示作業は従来の約1分40秒から約1秒と100分の1に短縮する。路面変状検知AIを導入する際の作業負荷を抑え、新たな区間にも展開しやすくする。
路面変状検知AIやNEXCO中日本との実証実験の詳細は、インフラ保全の国際会議「PHMAP23」で発表する。
日本国内の高速道路は、5割以上が開通から30年以上経過した。そのため、老朽化による路面変状の発生頻度増加が顕著になっている。ポットホールは走行中にハンドルを取られるため重大事故につながりかねない。二輪車にとっては数cmのポットホールでも危険だ。
NEXCO中日本管内の高速道路では、2019年度に約3200件のポットホールが確認されている。初期の状態では路面変状として現れにくく、路面変状として確認された段階では比較的短期間で路面損傷に進展するため、ポットホール化する前に早期発見、早期修繕が重要になる。
現在の点検は、点検員がパトロールカーで巡回し、路面や標識などさまざまな対象を目視で確認することで行っているため、点検品質のばらつきが懸念される。ポットホールを発見すると、高速道路上で安全な場所を探して停車、降車し点検員がポットホールの位置まで戻って記録用の写真撮影や道路管制センターへの通報を行い、緊急判定会議での判断を経て緊急補修を実施する(危険な路面変状であれば現地で速やかに簡易補修や交通規制を行う場合もある)。
ポットホールの位置によっては発見後に停車できる場所がなく、高速道路を一度降りてから再度同じルートを通って向かうなど時間のロスも大きくなる。
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