和田氏 ChaoJiや、さらなる超急速充電規格「Ultra-ChaoJi」に関して現在どうなっているのか。
箱守氏 ChaoJiに関しては中国側での開発は終了し、2022年に実証試験の段階に移っている。北京と上海を結ぶ高速道路の区間に7カ所のChaoJi規格の急速充電器を設置し、車両側も変更して実証試験を行っている。
下図からも分かるように、中国の急速充電器GB/Tの隣にChaoJiを設置している。なお、これは実証試験だが、日本と異なるのはChaoJiは既存のステーション横に設置されており、このまま継続運用となる点だ。日本のように実証試験が終われば取り外す必要はない。多くの自動車メーカーは実証試験の場所にChaoJi仕様のクルマを持ち込み、接続確認をしている。
もう1つの写真は、中国国家電網が示したGB/TとChaoJiのダブルアームだ。まだプロトタイプだが、今後はこのようなダブルアームが増えてくるのではないか。日本では日立インダストリアルプロダクツが大みか事業所(茨城県日立市)で、ChaoJiの実証設備を構築している。日系自動車メーカーは日立に出向き確認することができる。
丸田氏 現在、中国製ChaoJi(プロトコル:GB/T)と日本製ChaoJi(プロトコル:CHAdeMO)では、プラグ形状は同じでもプロトコルが異なる。このため日中間で協議し、共通の新プロトコルの開発を計画中だ。2024年にはChaoJiとして統一できるだろう。そうなれば、日中で全く同じ仕様のものを、急速充電器、車両側とも利用できるようになる。また海外においても共通化の道筋が開ける。
丸田氏 もう1つの話題として、Ultra-ChaoJiと名付けられた最大出力1.8MWまでの超急速充電規格の開発がある。これは、米国電動航空機標準化団体(SAE AE-7D)から、日中に対して大出力の検討依頼があったものであり、現在、コネクターの強度や安全性、後方互換性などを検討中だ。仕様書上はChaoJiをChadeMo3.0、Ultra-ChaoJiをCHAdeMO4.0として区別している。ChaoJiならびにUltra-ChaoJiは、国際電気標準会議(IEC)に国際標準となるよう申請済みである。
和田氏 CHAdeMOではV2Xプロトコルが公表され、V2Hパワーコンディショナーなども開発されて、実用化が進んでいる。では、CHAdeMO以外の規格ではV2Xはどうなっているのか。
丸田氏 NACS規格では今のところそのような動きはない。テスラは、家庭用蓄電池であるPowerwallが1つの稼ぎ頭となっており、あえてEVと双方向で充放電することにあまり関心がないのではないか。
またCCS陣営は、内部でV2Xのプロトコルを開発し実証試験を実施しているようだ。しかし、機器の実用化の動きはない。まだ仕様全体としてまとまっていないのではないか。その意味で、V2Xについて実用化しているのはCHAdeMO規格のみだ。
和田氏 EPAC CHAdeMOについてはどのような状況か
丸田氏 近年、電動アシスト自転車「e-BIKE」の人気が高まっている。このような電動アシスト自転車やスポーツバイクなどを対象として、欧州の企業などとも協力して、新たな充電規格EPAC CHAdeMOを2022年に公表した。今話題の電動キックボードなども含まれる。使用できる電圧が10V〜50Vまでと幅広く対応できるようにしているので、今後、規格の普及を進めていきたい。
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