アストロスケールホールディングスが2023年5月に移転した東京墨田区の新本社を報道陣に公開した。
アストロスケールホールディングスは2023年6月30日、同年5月に移転した東京墨田区の新本社を報道陣に公開した。新本社は、オフィスエリアの他、500kgクラスの衛星を同時に4機生産することが可能なクリーンルームを備える工場エリアとともに、同社の事業であるスペースデブリ(宇宙ごみ)除去を含む軌道上サービスや宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)についての最先端を学べる一般見学施設「オービタリウム(Orbitarium)」を設けている。オービタリウムは同年7月5日にオープン予定で、既に予約受付を開始している。
新本社はJR錦糸町駅東側の横十間川沿いに新設された「ヒューリック錦糸町コラボツリー」に入居しており、同駅から徒歩6分の位置にある。オービタリウムは2階にあり、同社が提供する軌道上サービスと関わる「軌道」をコンセプトに、円をモチーフとする空間デザインを取り入れた。オービタリウムの名称は「orbit(軌道)」と「arium(〜に関する場所)」を組み合わせた造語となる。
ビル1階からオービタリウムがある2階に向かう階段の上には、同社のデブリ除去技術実証衛星「ELSA-d」の2分の1モデルが吊り下げられている。2階の入り口からオービタリウムに入ると、曲面モニターが地球の模型を取り囲むように設置された円形シアターがある。円形シアターでは、地球を取り囲む衛星の軌道やスペースサステナビリティについて学べる映像が上映される。
円形シアターから、スペースデブリをイメージしたオブジェが配置されている廊下を通って進むと、軌道環境やスペースサステナビリティの取り組みについて知ることのできる展示エリアとなる。展示エリアの中心には、スペースデブリの捕獲の難しさを体験できるデモ展示が設置されている。壁面は、同社が提供する4つの軌道上サービスである、衛星運用終了時の除去を行う「EOL」、既存大型デブリを除去する「ADR」、燃料補給などにより宇宙機の寿命を延長する「LEX」、観測/点検を行う「ISSA」の説明パネルになっている。
そして展示エリアからは、衛星の製造や部品の試験を行うクリーンルームでの最先端の開発を見学できるようになっている。
オービタリウムは毎週水曜日と金曜日に営業しており、午前(11〜12時)と午後(15〜16時)の2枠で予約を受け付けている。1枠当たり最大20人まで収容可能で、ガイドによる軌道環境やスペースサステナビリティに関する説明なども行われる。入館料金は2023年8月末まで無料であり、墨田区など近隣の小中学校などによる夏休みの課外学習などでの利用を想定しているという。
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