パナソニック エナジーが北米における車載電池工場の投資や円筒形電池の高容量化など中長期戦略の進捗と今後の取り組みについて説明。2030年度には車載電池工場の生産能力が現在の4倍となる200GWh、電池セルのエネルギー密度も同25%増となる1kWh/lまで高めていく計画である。
パナソニック エナジーは2023年6月1日、オンラインで開催された「Panasonic Group 事業会社戦略説明会 2023」において、北米における車載電池工場の投資や円筒形電池の高容量化など中長期戦略の進捗と今後の取り組みについて説明した。2030年度に売上高3兆円超、企業の稼ぐ力を示すEBITDA率で20%という目標を達成すべく、車載電池工場の生産能力は現在の4倍となる200GWh、電池セルのエネルギー密度も同25%増となる1kWh/l(リットル)まで高めていく計画である。
パナソニック エナジー 社長執行役員 CEOの只信一生氏は「持続的な成長の実現に向けて車載と産業・民生の両輪経営を実践しながら、環境貢献や人的資本を重視するESG経営で社会へのお役立ちを高めていく。両輪経営では、EBITDAをKGI(重要目標達成指標)としつつ、車載で成長を、産業・民生で収益をけん引していく」と語る。
2022年度は、米国カンザス州で新たな車載電池工場の建設を開始した他、産業・民生事業でも徳島工場(徳島県松茂町)でインフラ向け高容量セル、中国の無錫でリチウム一次電池などに成長投資を実施。米国ネバダ州の車載電池工場の生産性改善では当初目標を10%上回る成果を得ている。その一方で、和歌山工場(和歌山県紀の川市)で2023年度下期の量産開始を目指して準備を進めていた新型の4680電池セルについては、新技術導入のため2024年度下期に延期となった。車載事業は原材料価格の高騰の影響が大きく、産業・民生事業は市況悪化に対して改善が追い付かなかったこともあり前年度から減益となっている。
2023年度は、車載事業の旺盛な需要に応えながら、価格転嫁や合理化、改善などを進めて増収増益を図り、調整後営業利益で前年度比39%増の550億円を目指す。2024年度はさらなら増益を狙い、調整後営業利益は同58%増の870億円、KGIのEBITDA率は2021年度に達成した16%まで回復させる計画である。
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