ただし、モバイルイメージング領域における高級機種向け年平均成長率は、前回の発表で12%としていたところを今回は1ポイント下げて11%とした。普及価格帯機種向けも大きく成長しない中で、イメージセンサー市場全体の年平均成長率9%を支える要因になったのが車載イメージセンサー市場である。
AD(自動運転)やADAS(先進運転支援システム)向けに用いられる車載カメラ数量市場は、2022〜2030年度の年平均成長率が13%となる見通しだ。ソニーが注力する200万画素以上の市場は車載カメラ全体を上回る勢いでの成長が見込まれている。これまでISS事業における車載イメージセンサーの事業目標として掲げてきた2025年度時点のグローバルトップ自動車メーカー20社との取引見通しについては、前回発表の75%からさらに上積みして85%に達するという。
車載イメージセンサー関連の事業展開では、イメージセンサーだけにとどまらず、センシングソフトウェアを開発して顧客に提供している。例えば、日産自動車が2023年4月に発売した新型「セレナ e-POWER」の駐車支援機能「プロパイロットパーキング」に採用された。
ソニーのISS事業としては、2022年度は車載イメージセンサーの成長が最も著しい1年になった。車載イメージセンサーの金額シェアで、2021年度が9%だったのに対し、2022年度は3倍近い25%にまで伸びたからだ。その上で2025年度の目標は39%としている。
ISS事業の主力であるモバイルイメージングと新たな柱としての成長が明確になってきた車載イメージセンサーに加えて注力しているのが、インテリジェントビジョンセンサー「IMX500」とエッジAI(人工知能)センシングプラットフォーム「AITRIOS」を組み合わせたセンシングソリューション事業である。現在は、リテール向けやNECとの協業による物流倉庫向けの実証実験を積み重ねているところで、関連のエコシステム構築を加速すべく2023年4月には英国Raspberry Pi財団への出資を発表した。
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