プラットフォームビジネスにおいては、自社で差別化ができるコア領域に注力しつつ、エコシステムを活用して効率的にスケールしていけるかが重要となる。日本の製造業は自前志向が強いといわれてきたが、この「効率的にスケールする」という観点において、自社の資産、資源、顧客基盤、開発力が事業拡大の限界になってしまっているケースが多い。特に、アプリケーションの拡充やソリューション導入を提案するコンサルティング能力、システム統合を行う人的資源やノウハウ、能力が不足している。一方、先行企業では「他社と組んでいかに有効なエコシステムを形成するのか」に注力をしている。
図4は主なB2B(企業向け)プラットフォームで形成されるエコシステムの分類である。それぞれを構成する主なプレーヤーは以下の通りだ。
サービスの提供(サプライヤー)は、アプリ開発パートナーやノウハウパートナーと共同で行うこともある。IT開発力を持たない企業であっても、アプリケーションの構想や問題意識などがあれば、プラットフォームを介してアプリケーション展開をすることも可能だ。そこがエコシステムのポイントである。
自社のリソースのみで顧客に対するビジネス提供を行う場合は、自社のリソースが提供できる範囲がビジネスの上限になってしまう。しかしエコシステムを効果的に活用することで、ビジネス拡大のスピードは何倍にもできる。例えば、米国のマイクロソフトでは、自社の収益に対してエコシステムが9倍もうかることを基準とし、エコシステムの構築に取り組んでいるという。「エコシステムを栄えさせれば結果として自社収益を得られる」という考え方が、いかに浸透し、重要視されているかが理解できるだろう。
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