インフォ・ラウンジ、サイバネットシステム、山手総合計画研究所は、3社で共同開発したXR技術を用いた体感型アーバンプランニング(都市設計)ツール「Tangible Interface XR」の報道陣向け体験会を開催した。
インフォ・ラウンジ、サイバネットシステム、山手総合計画研究所の3社は2023年4月23日、共同開発した「Tangible Interface XR」の報道陣向け体験会を「BankART KAIKO」(神奈川県横浜市)で開催した。
同体験会は、国土交通省が主導する3D都市モデル整備/オープンデータ化プロジェクト「PLATEAU」のユースケース開発事業の1つである「PLATEAU YOKOHAMA」において、横浜市中区で実施されたTangible Interface XRを活用した2022年度の実証実験が終了したことを受け、その成果報告の場として催されたものだ。当日は一般向けの成果報告および有識者を交えたトークセッション、体験会も実施された。
Tangible Interface XRは、PLATEAU YOKOHAMAプロジェクトの取り組みの中で開発されたもので、建築物の評価に利用される都市模型をタンジブルユーザーインタフェース(※注1)化し、VR(仮想現実)と組み合わせて都市デザイン領域に適用した、XR技術を用いた体感型アーバンプランニング(都市設計)ツールだ。
※注1:タンジブルユーザーインタフェースとは、米国マサチューセッツ工科大学 教授の石井裕氏が提唱するユーザーインタフェースの形態で、形のない情報を直接触れることができる(タンジブル)ようにした、より実体感のあるインタフェースのこと。
1.5m四方のTangible Interface XR専用テーブルに配置された都市模型(タンジブルオブジェクト)の形状とレイアウト情報を読み取り、それをデジタルツイン上で実寸大の3D景観として再現し、ディスプレイやVRヘッドセットに表示する。テーブル上にあるタンジブルオブジェクトを動かしたり、入れ替えたりすると、デジタルツイン上に再現された街の3D景観も瞬時に変更が反映される。
「Tangible Interface XRのソフトウェアは『Unity』で開発した。タンジブルオブジェクトの底面にあるマーカーをテーブル下部に設置したWebカメラで読み取り、その配置位置をUnity内の座標に変換することで、テーブル上に置いたタンジブルオブジェクトの3Dモデルをデジタルツイン上の街の景観の中に配置する。現在のシステムでは100個ほどのタンジブルオブジェクトを識別することが可能だ。また、街区については、テーブル下部にあるプロジェクターで出力したものを鏡で反射させてテーブル面に投影している」(説明員)
従来の都市設計は、行政機関やデベロッパーが中心となって進められてきたが、近年、市民参加型によるプロセス設計の重要性が増している。これを受け、同プロジェクトでは、都市に関わる行政担当者、専門家、市民など、全ての関係者が主体となり、自分たちの都市の未来をともに考えてイメージを共有できるよう、3D都市モデルとXR技術を組み合わせたコミュニケーションツールを開発するに至った。
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