新設のパレット自動倉庫は高さ30m、奥行60mあり、4万3680パレットを収納できる。1パレット1製品で保管しており、自動倉庫のクレーンが片側2列のラックにアクセスできるダブルディープ方式の高密度設計により従来の約半分のスペースでの保管が可能になった。
レイヤーデパレタイザーは8台設置した。入庫したパレット上の製品は8ケースが6段積みになっているが、レイヤーデパレタイザーが四方からクランプすることで1段ずつ切り離すことができる。8台のうち2台はエアーによる吸着もできる。8台で1時間に1万ケースを処理可能だ。
21台の混載パレタイジングロボットも導入した。設定された出荷製品から最適な積み方をシミュレーションし、サイズが異なる複数のケースの製品を1つのパレットにまとめて積み付け、出荷に回す。1時間で200パレット分を処理できる。その他、分速200mで走行できる計39台の高速搬送台車が、入荷した製品を自動倉庫へ入庫したり、積み付けた混載パレットを出荷エリアに運んだりしている。
これらの自動化設備によって作業の効率性を高め、省人化しただけでなく、物流のフロー自体が大きく変化した。
埼玉メガDC稼働前は、各セールスセンターで入荷した製品を保管し、出荷時に作業者がピッキングを行い、配送車に積み込んでいた。稼働後は、埼玉メガDCでロボットなどによって配送車のルート別にピッキングし、大型車両でセールスセンターに届けるようになった。これによって、セールスセンター側では既にルート別にピッキングされた製品を配送車に積み込むだけになり、在庫の圧縮と省人化につながった。
コカ・コーラ ボトラーズジャパン SCM本部 ロジスティクス統括 東日本物流グループ統括部 埼玉メガDC センター長の城丸嘉央氏は「工場内でルート別ピッキングまで行うのは埼玉が初めての取り組みだった。今まで経験にない規模の設備、ボリュームだったので、本当にできるのかと思いながら取り組んできたが、稼働から2年間を経て今では1日400台のトラックをほぼ待たせずに出せるようになった。今後の課題として、この設備を最大活用するためにはどうすればいいかを社内で検討している」と話す。
物流業界では、トラックドライバーの時間外労働への上限規制適用などの2024年問題が課題となっている。「メガDCでは自動化を進めてエリア全体での効率化、省人化を進めることを目的にしている。本社の輸送部門と連携して、エリア全体の輸送距離の短縮や地産地消、エリア自給率の工場などさまざまな対策を進めている」(城丸氏)
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