PLM市場で存在感高めるアラス、新CEOが目指す次のステップとは製造マネジメント インタビュー(2/2 ページ)

» 2022年11月29日 08時00分 公開
[朴尚洙MONOist]
前のページへ 1|2       

AVEVAとの提携で造船やプロセス製造の市場を開拓

MONOist 日本市場をどのように捉えていますか。

マーチン氏 日本市場は100社以上のユーザーがおり、アラスにとって極めて重要だ。また、アラスが採用されている産業分野は、組み立て製造業にとどまらず、ゲーム、消費財、化学/素材、建設/建築でも増えている。アラスジャパンの規模はこの3年ほどで2倍以上になった。

 社員も多く雇用しており、パートナーとのネットワークも増やしていきたい。パートナーで言えばグローバルではアクセンチュアの名前を挙げられるが、日本の地場パートナーとの関係も強化する必要がある。

MONOist 2022年9月に、造船やプロセス製造の市場向けに管理ソリューションを展開するAVEVAとの提携を発表しました。どのような効果が見込めますか。

マーチン氏 2020年1月にCAEソフトウェア大手のアンシス(Ansys)と提携しており、今回のAVEVAとの提携も含めてエコシステム拡大に注力していきたい。

 アラスにとってAVEVAとの提携は、造船やプロセス製造の市場を開拓する大きなきっかけになる。これらの市場で有力な企業が多数ある日本においても大きなインパクトがあるだろう。アラスとAVEVA、両社のプラットフォームのケイパビリティを大きく高められるが、アラスとしてはアセットライフサイクル管理の機能をAVEVAのソリューションにうまく融合していきたい。

MONOist 創業者のシュローラ氏からCEOを引き継いだわけですが、今後に向けてどうしていきたいと考えていますか。

マーチン氏 CEO就任の打診があったとき、シュローラ氏と話して、価値観やビジネス、顧客への考え方などで共感し、その後はとんとん拍子で話が進んだ。シュローラ氏は先見の明があり、Aras InnovatorにおいてSaaSやローコード開発のアーキテクチャを作り上げてくれた。これまでの20年間でシュローラ氏が構築してきたものを、次のステップにつなげていくことが私のミッションだ。市場がPLMに求めるものを早期に提供し、競合をリードしていきたい。

 シュローラ氏はアラスの取締役として残るので、今後も事業などでアドバイスがもらえるだろう。シュローラ氏の他にも、シーメンスPLMのCEOを務めたトニー・アフーソ(Tony Affuso)氏や、アンシス(Ansys) 元CEOのジム・キャッシュマン(Jim Cashman)氏などが取締役を務めており、彼らの経験を生かせることはとても環境に恵まれていると思っている。

アラスのロッキー・マーチン氏(左)とアラスジャパン 社長の久次昌彦氏 アラスのロッキー・マーチン氏(左)とアラスジャパン 社長の久次昌彦氏(右)。久次氏が担当する日本市場への期待は大きい[クリックで拡大]

⇒その他の「製造マネジメント インタビュー」の記事はこちら

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.