台湾のメディアテックが事業戦略について説明。2021年のグループ売上高は前年比61%増の176億米ドルを記録し、2022年も好調に推移している。スマートフォンの他、ArmベースChromebookやスマートTV向けのSoC、Wi-Fiのアクセスポイント/ルーター向けチップセットなどでも世界シェアトップになったという。
台湾メディアテック(MediaTek)の日本法人であるメディアテックジャパンは2022年11月25日、東京都内で会見を開き、中核であるスマートフォン向けSoCをはじめさまざまな分野で展開している事業の戦略について説明した。2021年のグループ売上高は前年比61%増の176億米ドルを記録し、2022年も好調に推移している。製品ごとのシェアでも、スマートフォンの他、ArmベースChromebookやスマートTV向けのSoC、Wi-Fiのアクセスポイント/ルーター向けチップセットなどでも世界シェアトップになったという。
1997年に台湾のファウンドリー企業のUMCから独立したメディアテックは、光ディスク向けICを皮切りにDVDプレーヤー/TV向けSoCと業容を拡大。2007年にアナログ・デバイセズからモデム事業を買収した後、2010年代にスマートフォン向けSoCに注力することで売上高の拡大を進めてきた。その間、2015年に電源管理IC(PMIC)を手掛けるリッチテック(Richtek Technology)、2017年にBluetooth技術を有するアイロハ(Airoha Technology)、2018年にTV向けSoCを展開するエムスター(Mstar)などを傘下に収めている。
そして、2020年から始まったスマートフォンの5G導入に合わせて、それまでのスマートフォン向けSoCの中核だったメインストリーム市場からハイエンド市場に採用を拡大するべく、フラグシップSoCの「Dimensity 9000」を投入した。メディアテック コーポレートシニアバイスプレジデントのジェリー・ユー(Jerry Yu)氏は「4Gの時代は競合に後れを取っていたが5Gの時代になってリーディング企業の一つになったと自負している」と語る。
現在の売上高構成は、スマートフォンとフィーチャーフォン向けSoCから成るモバイルフォンが54%、ArmベースChromebook、スマートTV、Wi-Fiなどのコネクティビティから成るスマートエッジプラットフォームが38%、リッチテックが源流となるPMICが7%となっている。2022年の売上高を、5G導入そしてコロナ禍前の2019年と比べると、モバイルフォンが4倍、スマートエッジプラットフォームが1.5倍、PMICが2倍に成長している。
大きく成長を遂げているメディアテックだが、今後の成長も可能だという。ユー氏は「これまで半導体市場の成長をけん引してきたのはPC、スマートフォン、家電の3分野だ。これからは、これら3分野にとどまらないさまざまな分野がけん引する“マルチドライバーの時代”が来る。メディアテックは、Wi-Fiなどのコネクティビティ、Armコンピューティング、スマートフォンやスマートTVなどのディスプレイの技術でトップを走っており、これらの3つの技術をベースに“マルチドライバーの時代”も成長を継続する」と説明する。
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