講演、そして同イベントの展示ブースでは、遠隔からカメラ画像を確認し、ロボットアームに指示を出して、工場にある工作機械のコンソールパネルのボタンを押すことを想定したデモシステムの実演を披露していた。
「24時間フル稼働している工作機械が、夜中に突然停止してしまった場合、担当者は家からクルマを飛ばして工場へ向かい、工作機械の前まで行って、再始動のボタンを押す。現実に、このボタンを1つ押すためだけに、こういう対応が行われている。“ボタンを1つ押すだけ”というライトなタスクを遠隔化する、そんなシステムをわれわれは開発している」(加藤氏)
また、同社は、工場にとっての資産でもある工作機械などに手を加えることなく、改造することもなく、人の手/足/目/耳に代わるシステムを手軽かつ安価に、後付けで導入できることを目標に、SocoCacicoの開発を進めている。
例えば、人の手に当たる部分をロボットアームで、目に当たる部分にはカメラやセンサーなどを必要に応じて複数台設置するなどして、システムを実現。遠隔地にいる担当者は、Webブラウザ上のSocoCacicoのサービスを介し、角度を変えて複数台設置してあるカメラ映像などを確認しながら、現場の状況を自身の目で把握した上で、ロボットアームに操作指示を出すことが可能だ。
なお、ロボットアームは傾斜角での取り付けにも対応。アーム先端にはボタンを押すための機構を搭載でき、押し込みのストロークや時間などを細かく設定できる。特にWebフロントエンドとの再現性/応答性に関しては、一気通貫した自社開発によりとことん追求しており、スムーズな遠隔操作を実現しているという。
さらに、遠隔指示でスタンバイモードのON/OFFなどを制御できる他、停電や通信障害が起きた際、自動で再起動して通信を再開するといった自動復旧の仕組みも搭載しているという。
「今回は、スカラ型のロボットアームを用いたデモを実演したが、これはSocoCacicoが実現するものの一例にすぎない。それが6軸のロボットアームでも自走式ロボットでもよい。あるいは、単にセンシングだけを行いたい、複数カメラを設置して現地とのやりとりだけを実現したいといった幅広い使い方に対応できる」(加藤氏)
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