OTセキュリティが日本での優先課題、創造性と自由をデジタルにもたらす産業制御システムのセキュリティ(1/2 ページ)

フォーティネットジャパンは2022年7月1日付で社長執行役員に就任した田井祥雅氏の就任発表会見をオンラインで開催、田井氏は日本における今後の戦略やサイバーセキュリティを巡る現状などを語った。

» 2022年09月07日 13時00分 公開
[長沢正博MONOist]

 フォーティネットジャパンは2022年7月1日付で社長執行役員に就任した田井祥雅氏の就任発表会見をオンラインで同年9月2日に開催、田井氏は日本における今後の戦略やサイバーセキュリティを巡る現状などを語った。

ゼロトラスト軸にデジタルに自由と創造性をもたらす

フォーティネット 社長執行役員の田井祥雅氏

 田井氏は1990年代以降のデジタル活用の歴史を振り返り、1990年代は手作業の代替や単純業務の効率化といった“デジタル化”だったのが、2000年代に企業全体の生産性向上を図る“デジタルシフト”に変わっていったと解説した。

 現在は、デジタルをビジネスモデルの創造に用いる“DX(デジタルトランスフォーメーション)”の時代に入ったが、「デジタルを新しい創造性に活用しようとした時に、これまでの業務効率、生産性向上のためのITが足かせになっている。その理由の1つがサイバーセキュリティの問題だ」と指摘した。

 そこで、「デジタルに自由と創造性をもたらすために足かせとなっているサイバーセキュリティへの1つの答えになる」(田井氏)とするのが、“ゼロトラスト”の考え方だ。あらゆるリソースへ、あらゆる場所から行われるアクセスをその都度、継続的に監視、制御、保護する。ユーザーの行動や環境の属性情報に基づき信頼度スコアを算出し、スコアに応じて動的にポリシーを適用する。「入ってくるユーザー、利用するネットワークを信用しないしないことを前提に、その中でどうすればセキュリティが保てるのかを与えるソリューションとなる」(田井氏)。

1990年代以降のデジタル活用の歴史(左)と、ゼロトラストの概要(右)[クリックして拡大]出所:フォーティネット

 フォーティネットの調査では、2020年7月から2021年6月までの間に1週間当たりのランサムウェアの検知数が10倍に上昇している。

 「それだけ企業のリソースを盗もうとしている人たちが増えている。今、セキュリティを守るために一番大切なのは時間だといわれている。入られてしまうのは仕方がない。入られた後にどれだけ早く見つけるかが鍵となる」。侵入後30分で検知して該当の端末をネットワークから遮断するか、それが1日後になるかでは被害は雲泥の差になる。素早く検知するためにはさまざまなセキュリティ製品の常時連携が重要になる。

 フォーティネットでは幅広い製品を既にポートフォリオに組み込んでいるが、今後も自社開発だけでなく技術を持つ企業へのM&Aやオープンエコシステムによって一層の拡大を図る。

急増したランサムウェアの検知数(左)と、プラットフォーム拡張に向けた取り組み(右)[クリックして拡大]出所:フォーティネット
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