パナソニックがAI倫理原則を発表、実践を後押しするチェックシステムも開発人工知能ニュース(1/2 ページ)

パナソニック ホールディングスが「パナソニックグループのAI倫理原則」とその実施体制などについて説明。AIの開発、運用、利活用において順守すべき倫理原則として、経営理念に基づく前文と5項目の原則から構成されており、「AI倫理チェックシステム」や全社員を対象とする教育プログラム「AI倫理基礎」などを活用して推進する。

» 2022年08月30日 07時00分 公開
[朴尚洙MONOist]

 パナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は2022年8月29日、オンラインで会見を開き、同日公表した「パナソニックグループのAI倫理原則」とその実施体制などについて説明した。AI(人工知能)の開発、運用、利活用において順守すべき倫理原則として、経営理念に基づく前文と5項目の原則から構成されており、パナソニックHD傘下に設置したAI倫理員会の下で、パナソニックグループ各社の現場における運用のしやすさを意識した「AI倫理チェックシステム」を活用するとともに、AI研修体系に新たに全社員を対象とする教育プログラム「AI倫理基礎」を追加するなどして推進していく方針である。

パナソニックHDの丸山友朗氏(左)と佐藤佳州氏(右) パナソニックHDの丸山友朗氏(左)と佐藤佳州氏(右)[クリックで拡大]

 今回発表したAI倫理原則では、前文において、「物と心が共に豊かな理想の社会」の実現という経営理念を掲げつつ、グループ各社が事業を展開する暮らし、モビリティ、B2B分野におけるウェルビーイングとサステナビリティに向けて「お客様に寄り添い、幸せをもたらす企業であり続ける」ことをうたっている。この前文の目的を実践するため、『「より良いくらしとより良い社会」を実現すること』「安全のための設計、開発、検証を行うこと」「人権と公平性を尊重すること」「透明性と説明責任を重視すること」「お客様のプライバシーを保護すること」の5条から成る原則を定めた。

パナソニックのAI倫理原則 パナソニックのAI倫理原則[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
AI倫理原則の解説 AI倫理原則の解説[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 パナソニックグループでは、2019年からAI倫理の検討を開始するとともに、経済産業省の「AI原則の実践の在り方に関する検討会」に参画するなどして、グループ横断のAI倫理に関するガバナンスを検討してきた。パナソニックHD テクノロジー本部 デジタル・AI技術センター 課長の佐藤佳州氏は「2022年4月から持ち株会社制に移行したが、あらためてグループ各社の承認を得た上で、パナソニックHDの傘下に『パナソニックグループAI倫理委員会』を設置した」と説明する。同委員会は、全事業会社から1人以上のAI倫理の担当者が参加し、法務、知財、情報システム、セキュリティ、品質部門も加わった体制となっている。

AI倫理委員会の体制 AI倫理委員会の体制[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD
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