小型ボードコンピュータ「Raspberry Pi(ラズパイ)」を使って、低コストかつ現場レベルでIoT(モノのインターネット)を活用する手法について解説する本連載。第13回は、小型ボードコンピュータの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略してラズパイ)」を活用して、バーコードを用いた工場内トレーサビリティーの精度向上について解説します。
今回は、小型ボードコンピュータの「Raspberry Pi(ラズベリーパイ、略してラズパイ)」を活用して、バーコードを用いた工場内トレーサビリティーの精度向上について解説します。
なお、RFIDを活用したトレーサビリティーシステムについては連載の第6回と第7回で紹介しているので、関連記事としてご確認いただければ幸いです。
品質保証体制の強化に向けて各企業がトレーサビリティーのシステム化に取り組む事例が増えてきました。トレーサビリティーのデータを記録する際には、仕入先から受け入れた部材について、製品のどのロットに使用したのかを記録することになります。ロット記録表に手作業で記入してから、後でまとめてデータ入力すると工数がかかりますし、すぐに確認ができません。この課題を解決するにはデータ入力の簡略化が求められます。
このデータ入力の簡略化に向けて、ラズパイとバーコードの活用を検討します。まず、工場内でバーコードを用いたトレーサビリティーに取り組む際の課題としては、以下のような項目が挙げられます。
これらの課題に対応できないため、現品票への手書き入力と直単位や1日単位で現品票を回収してから事務所のPCでの一括入力という従来通りの対応を続けている企業が多いのではないでしょうか。これでは、問題発生時のトレース帯が直単位や日単位になるため、影響範囲の把握に時間がかかってしまいます。
上記の問題を解決するためにラズパイとバーコードの活用によるトレーサビリティーのシステム化を次のようなのステップで進めます。
まず、仕入先ごとに現品票の種類が異なりますので、その中の値をマスターに登録します。
例えば、部材品番が9桁、ロットNo.が10桁、数量が10桁であれば部材品番1〜9桁、ロットNo.は10〜19桁、数量は20桁〜29桁と設定します。別の現品票では、部材品番が9桁、数量が8桁、ロットNo.が8桁であれば、部材品番1〜9桁、数量10〜17桁、ロットNo.18〜25桁と設定します。こうすることで、バーコードを読むだけで部材品番、ロットNo.、数量を自動で登録できるようにします。
ラズパイ、タッチパネル、バーコードリーダーで構成するシステムを部材口の近くに設置します。次に工場、生産日、担当者を入力して現品票の読み取り画面を立ち上げます。そして、部材を投入する都度、部材に付いていた現品票を外してから2次元バーコードを読み取ります。2次元バーコードから、部材コードごとに設定したマスターの内容を見て、部材コード、ロットNo.、数量を読み取ります。その項目と画面に表示している工場、生産日、製品コードおよび2次元バーコードを読み込んだシステム日時を加えて、データベースに保存します。
ラズパイに保管されているデータを定期的にサーバに通信してデータを書き込みます。
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