こうした動きを受けて、パナソニックでは、業務用電気空調機器を対象に、アルミ冷媒配管で施工した場合の性能および安全性に関する検証を実施。2022年9月受注分から、アルミ冷媒配管で施工した業務用電気空調機器をメーカー機器保証の対象とすることを決定した。
パナソニック 空質空調社 空調冷熱ソリューションズ事業部 業務用空調ビジネスユニット ビジネスユニット長の小松原宏氏は、冷媒配管のアルミ化普及が進まなかった背景として「銅冷媒配管基準で定められた設計基準しかない点や部材の変更による空調機器の故障リスクがあったため、なかなか置き換えが進まなかった」と述べている。
規格化についてはAPEAが推進したが、性能および安全性については個々の検証が必要となる。そこでパナソニックでは、独自で検証を実施。アルミ配管でオートクレーブ試験や実機による耐久試験などを重ねたが、銅配管と変わらない結果を得ることができた。また、実際のビル環境での実働試験も実施。空調設備工事などを手掛けるかんきが大阪市内に置く本社ビルで2019年に設置試験を開始し、2020年に現場の状況を確認したが特に異常はなかったという。
そこで、高い信頼性を確認できたベンカン製のアルミ冷媒分岐管を推奨品に採用し、アルミ冷媒配管で施工した業務用電気空調機器でもメーカー機器保証を開始することにした。2022年9月受注分から、銅冷媒配管で施工した機器同様、購入後1年間は、機器起因の故障が発生した場合に無償で保証する。対応機種はビル用マルチエアコンで上吹きタイプの「UX5」「UXPR5」「UXR5」「UXK4A」シリーズと、横吹きタイプの「UL4」「ULR5」シリーズ、オフィス/店舗用エアコンの全機種(シングル接続)となる。また、保証条件として、APEA認定アルミ部材を採用し、APEA会員企業による施工を行うことなどを挙げている。
さらに、対応機種を今後拡大する計画で、GHP(ガスヒートポンプエアコン)についても2023年度中にメーカー保証対応を進めるために検証を進める。また草津工場の新棟などでもアルミ冷媒配管を採用する計画だとしている。
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