グーグル・クラウド・ジャパンがノーコード開発環境「AppSheet」の事業展開について説明。会見にはLIXIL 常務役員 デジタル部門 システム開発運用統括部 リーダーの岩崎磨氏が登壇し、2021年10月に社内導入を始めてから1年弱での成果を紹介した。
グーグル・クラウド・ジャパンは2022年6月24日、オンラインで会見を開き、ノーコード開発環境「AppSheet」の事業展開について説明した。会見にはLIXIL 常務役員 デジタル部門 システム開発運用統括部 リーダーの岩崎(実際の漢字は右側の「大」が「立」のたつさき)磨氏が登壇し、2021年10月に社内導入を始めて9カ月間での成果を紹介し、既に約4000人がAppSheetを利用したアプリケーション開発を行っており、今後も導入を拡大していく方針である。
グーグル(Google)が2020年1月に買収したAppSheetは現在、クラウドベースのビジネススイート「Google Workspace」の機能として提供されている。グーグル・クラウド・ジャパン Google Workspace 事業本部 ソリューション営業部 営業統括部長の小林直史氏は「コロナ禍を経てデジタル化が加速する中、情報システム部門にさまざまな負荷がかかる一方で、現場のユーザー部門が望むものも増えている。これまで、システム化されていない定型業務というカテゴリーにはRPAや“ローコード”開発環境が活用されてきたが、依然として抜け漏れがあるのがシステム化されていない非定型業務だ。コーディングスキルがなくても利用が容易な“ノーコード”開発環境であるAppSheetは、このカテゴリーをデジタル化するのに最適だ」と語る。
なお、ここで気を付けておきたいのが、ノーコードとローコード、スクラッチの違いである。グーグルでは、テキストコーディングを一切行わず、開発者ではないビジネスユーザーでも活用できるものをノーコードと捉えている。最小限ではあるものの一部のコーディングが必要なローコードや、テキストコーディングで開発を行うスクラッチとの間には「コーディングの壁」が存在するという。ただし、ノーコードで実現できる機能には限界があり、複雑な機能については開発者がローコードやスクラッチで開発する必要がある。
AppSheetは、アプリケーション開発のハードルを下げる一方で、誰でも開発できるが故にいわゆる“野良アプリ”の増加への対策が課題になってくる。情報システム部門がAppSheetによるアプリケーション開発の統制をとれるように、API利用や社内データへのアクセス権限の設定をはじめさまざまな管理機能も提供している。
また、グーグルが主幹事となって発足した日本リスキリングコンソーシアムでも、学習プログラムの「Google Cloud Skills Boost」の中でAppSheet関連のトレーニングを提供しているという。
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