この比較的古くて新しい全体最適の視点に対して、最新トレンドから示唆を得られるのは、事業の勝ちパターンを作るも、その中で各社のフォーマットがバラバラであるケース、つまり標準化の中の非標準化が進んでいるケースである。例えば、ここ数カ月でも大きく進展している、EV(電気自動車)関連のビジネスがそれに当たる。EVの先進プレイヤーの戦い方は幾つかに分類されつつある。
クルマ製造だけで収益化するモデルはいまだ見当たらず、バリューチェーン全体で“稼ぐ”必要があり、主導プレイヤーの出自によってはエネルギーマネジメントやリユース、リサイクルなどまで包含するモデルとなる(自動車業界が勘案すべきエネルギーマネジメントの要点は、後続する章の「電動化エコシステム=エネルギーマネジメント」で詳しく解説する)。
その中で、満充電からの走行距離、TCO(Total Cost of Ownership、総保有コスト)、稼働率などEVの普及を阻害する要因を解消しながら自社の戦略を優位に推し進めるためには、1社で戦うのではなく、「EVエコシステム」を形成することが不可欠であり、これは全体最適の観点といえる。
例えば中国では、EVの普及を阻害する要因の解消に向け、政府による補助金などの後押しを受けながら、乗用車や商用車など、いずれのモビリティにおいてもバッテリーを基軸にしたエコシステム構築が進められている。その中でも「交換式バッテリー」を軸とした戦い方が進展しているのである。最近数カ月で注目されることが多くなったが、中国国内では以前から推進されてきた形式だ。
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