NTTコミュニケーションズが、SIMの契約情報などが書き込まれている通信プロファイル領域と、アプリケーションなど通信以外の情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理する技術を開発。同技術の活用サービスの第1弾として、アプレット領域にトレンドマイクロのセキュリティ機能を搭載したSIMのフィールドトライアルを開始する。
NTTコミュニケーションズ(NTTコム)は2022年2月14日、オンラインで会見を開き、移動体通信を行う際に必要となるSIMにおいて、契約情報などが書き込まれている通信プロファイル領域と、アプリケーションなど通信以外の情報を書き込むアプレット領域を完全に分離して管理する技術を開発したと発表した。同技術を活用したサービスの第1弾として、アプレット領域にトレンドマイクロのセキュリティ機能を搭載したSIMのフィールドトライアルを同月内にスタートし、2023年3月までのサービス化を目指す。併せてNTTコムは、同技術の共創パートナーを募集するなどして適用範囲を広げ、エコシステムを広げていきたい考えだ。
今回開発した技術(国際特許を出願中)が対象とするSIMは、移動体通信の契約情報を遠隔で書き換え可能なeKYC(電子本人確認) SIM(eSIM)が対象となる※)。SIMの形状はSIMカード、半導体として実装するチップ型SIMともeKYCに対応していれば利用できる。
※)eSIMという言葉は、チップ型SIMと同義である組み込み型SIM(Embedded SIM)の略語としても用いられているが、今回開発した技術が対象とするeSIMはeKYC SIMとなっている。
eSIMは、契約情報などを書き込む通信プロファイル領域とともに、アプリケーションなど通信以外の情報を書き込めるアプレット領域を利用できることが特徴になっている。ただし、一般的なeSIMでは、通信プロファイル領域とアプレット領域を分離できないため、eSIMの提供企業が両領域を共通の鍵で管理する必要があった。
NTTコム 5G IoTタスクフォース 担当部長の内山貴允氏は「せっかくのアプレット領域をパートナー企業が活用しようとしても、開発サイクルの中でeSIMへの書き込みをeSIM提供企業にいちいち行ってもらわなければならず開発が長引いてしまうという課題があった。今回開発した技術を用いれば、通信プロファイル領域から分離したアプレット領域の鍵情報をパートナー企業に渡すことで、一般的なアプリケーションと同様に開発サイクルを素早く回せるようになる」と語る。
NTTコムは新技術をより多くのパートナー企業で活用できるようにするため、ソフトウェア開発キット(SDK)となる「eSIMアプレットSDK」を用意した。SDKの他、作成したeSIMアプレットのテストを行うためのデベロッパーSIMカードなどを利用できる。ユーザー側は、Javaソースコード開発環境と、ソフトウェア開発用のPC、eSIMのアプレット領域にソースコードを書き込むリーダライタ―、アプレット領域のアプリケーションの動作確認を行うためのデバイスを用意すればよい。なお、アプレット領域で利用可能な容量は最大で150KBとなっている。
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