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» 2022年02月03日 10時00分 公開

AUTOSARの最新リリース「R21-11」(その3)+合意形成のための5ステップAUTOSARを使いこなす(23)(1/3 ページ)

車載ソフトウェアを扱う上で既に必要不可欠なものとなっているAUTOSAR。このAUTOSARを「使いこなす」にはどうすればいいのだろうか。連載第23回は、「AUTOSAR R21-11」で導入された10の新規コンセプトのうち残りの5つの内容を解説するとともに、AUTOSARの標準化における合意形成のための“黄金の”5ステップを紹介する。

[櫻井剛,MONOist]

はじめに

 2021年11月25日に発行された「AUTOSAR R21-11」の概要のご紹介、連載第21回から始めて3回目となります。今回は、残りの5つのコンセプトのご紹介です。

 もしも、第21回前回(第22回)をご覧いただいていないようでしたら、まずはそちらをご覧いただけますと幸いです。

⇒連載「AUTOSARを使いこなす」バックナンバー

AUTOSAR関連イベント続報:第13回AOC開催延期

 R21-11のご紹介の前にイベント関連の更新情報をお伝えします。

 第21回で、「第13回AUTOSAR Open Conference(AOC)」の開催予定を2022年3月15日とお伝えしましたが、昨今の情勢を鑑みて延期が決まったとのことです。

 新スケジュールは執筆時点では発表されていません。2月中頃以降にアナウンスされるとのことですので、その時期になりましたら、AUTOSAR公式Webサイトのイベント情報をご自身でご確認ください。

おさらい:R21-11での10のコンセプト

 AUTOSAR R21-11(Internal Release Number:R4.7.0)では、10のコンセプトの導入が行われています(表1)。これらのうち4つは2020年11月発表の「R20-11」で第1弾が導入されたものですが、続編となる今回でも引き続き多くの機能拡張が行われています※1)

※1)なお、本連載の前々回(第21回)ではNo.2と3の2つとお伝えしましたが、前回(第22回)で訂正させていただきましたように、No.7と8も続編です。失礼いたしました。

NO. Concepts FO CP AP 補足 State
1 Mode Dependent Configuration (MDC) x - x 機能拡張 draft
2 System Health Monitor (SHM) ※一部文書ではManagement (表記不統一) x - - 機能拡張 (続編) draft
3 Classic Platform Flexibility (CP Flexibility) x x - 機能拡張 (続編) draft
4 Service Discovery Harmonization x x - 記述改善 draft
5 Memory Stack Rework - x - 機能拡張 draft
6 E2E for Fields x x x 機能拡張 draft
7 Rework of PNC related ComM and NM x x - 作業効率改善(続編) draft
8 10BASE-T1S - x - 機能拡張(続編) draft
9 DDS Security in Communication Management DDS Network Binding - - x 機能拡張 draft
10 DDS Enhanced Discovery - - x 機能拡張 draft
表1 R21-11の新規コンセプト一覧(xは影響を受けるプラットフォーム、FO:Foundation、CP:Classic Platform、AP:Adaptive Platform)

コンセプト#6(新規):E2E for Fields

 End-to-End Protection(E2E)は、CPでの従来のシグナルベースの通信においては既に広く使われていますが、R19-11以降、サービス指向通信へのE2E対応も進められてきました。サービスは、SOME/IP(Scalable service-Oriented MiddlewarE over IP)プロトコルに基づき、Event、MethodおよびFieldの組み合わせで実現されます(図1)。

図1 図1 SOME/IP概要−Method、EventおよびField[クリックで拡大]

 R21-11では、これまで残件となっていたField(EventとMethodの組み合わせ)に関して、保護方法の明確化が行われました。

 なお、Fieldは、Methodを用いたGet/Setと、Eventを用いたNotificationから構成され、これらで使用するメッセージはE2Eで保護されます。しかし、Notificationを受けるために必要となるSubscriptionのために使用するメッセージ(SOME/IP Service Discovery Protocol(SOME/IP-SD)に基づくもの)に対しては、E2E保護は行われませんのでご注意ください。

 なお、このコンセプトに合わせて、幾つかのE2E Profileが追加されています(P08mおよびP44m)。そちらにつきましては、以降のページでご紹介いたします。

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