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» 2021年12月07日 11時00分 公開

盛り上がる「リニア搬送システム」、その期待と用途製造現場 先進技術解説(1/2 ページ)

「リニア搬送システム」が盛り上がりを見せている。制御技術の進化により、従来に比べて高速、高精度で個々の可動子を制御できることで、新たなモノづくりの実現ができるとされ、国内でもメーカーが相次いでいる。その期待と用途について解説する。

[三島一孝,MONOist]

 「リニア搬送システム」が盛り上がりを見せている。制御技術の進化により、従来に比べて高速、高精度で個々の可動子を制御できることで、新たなモノづくりの実現ができるとされ、国内でも参入するメーカーが相次いでいる。その期待と用途について解説する。

photo 2016年のハノーバーメッセ SAPブースで示された、リニア搬送システムとロボットの組み合わせによるラインのデモ展示

制御技術の進化で生まれた新たなリニア搬送システム

 リニアモーター技術を利用した搬送システムは以前から存在しているが、ここ数年これらをブラッシュアップしてパッケージ化したリニア搬送システムの提案が一気に加速している。

 従来のリニア搬送システムとの違いが、レール上を動く可動子に電気配線なしに動かせるという点だ。従来型のリニア搬送システムはレール部分に磁石を、可動子(動く部分)にコイルを入れて動かすため、可動子に電気を供給する配線が必要だった。そのため可動子の動きに制限が加わり、高速で自由な作業を実現するのは難しかった。新たなシステムでは、レール側にコイル、可動子側に磁石を入れているために、配線レスで可動子を動かせるようになり、自由な動作を高速に行えるようになる。

 これらを実現するためには、個々の可動子を振動などを抑制しながら最適に制御する高精度の制御技術が必要になるが、半導体技術の進化によりコントローラーの性能が上がりこれらを実現できるようになった。それにより、混流でさまざまなワークが流れるような場合でも自由に振り分けるような作業を行ったり、2つの可動子を1組としスピードの違いによるたわみを生かして飲料や液体製品のパック充填を行ったり、従来にないさまざまな使い方が期待されている。

 また、リニアモーターにより可動子が浮遊しているため、接触型のコンベヤーなどと比べた場合、メンテナンスコストの低減が可能な点もメリットだ。さらに、PCやコンピュータベースのプログラムなどにより、組み合わせを変えた際などの拡張性や設置性などが高いという点も利点だ。これらの技術面で課題がクリアされ、用途面の開拓が進みつつあることで、国内への参入メーカーや投入製品がここ数年で大きく増加している。

新規参入や事業強化するメーカーが続出

 新たに国内向けでリニア搬送システム製品を投入することを発表したのが、フランスのシュナイダーエレクトリックである。同社は、2021年11月10日、新たにリニア搬送システム「Lexium MC12マルチキャリア」を12月に国内投入することを発表した。シュナイダーエレクトリック インダストリー事業部 バイスプレジデントの角田裕也氏は「後発の強みを生かし、先行メーカーにない特色を打ち出したい。市場そのものもまだまだこれからなので、盛り上げていきたい」と今後への意欲を示している。

 「Lexium MC12マルチキャリア」はループ型のレール上にリニアモーターで駆動する複数のキャリアを走らせ、ワークを独立させて搬送、位置決めできる搬送システムである。キャリア1つを1軸のモーション制御と捉え、複数軸の同期制御を可能とするコントローラー「PacDrive」を活用することで、前後工程のモーション制御やロボット搬送などを含めたシステム全体で完全同期のプログラミングを実現している。さらに、デジタルツインを実現できる専用ソフトウェアを用意しシミュレーション機能などで、設計や試運転の工数やコストの削減を実現する。

photo シュナイダーエレクトリックが国内への投入を発表したリニア搬送システム「Lexium MC12マルチキャリア」 出所:シュナイダーエレクトリック

 また、米国のロックウェルオートメーションなども2020年5月に国内の工作機械や食品、飲料業界向けに「iTRAK 5730小型リニア搬送システム」の投入を発表するなど、製品投入が広がりを見せている。

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