YE DIGITALが開発した、AI画像判定サービスを活用する夾雑物除去システムが、カゴメの茨城工場にて本格稼働を開始した。トマトの変色部や皮などの夾雑物をAIが画像判定で高精度に判別し、ロボットが除去するシステムだ。
YE DIGITALは2021年11月1日、同社が開発した、AI(人工知能)画像判定サービスを活用する夾雑物(きょうざつぶつ)除去システムが、カゴメの茨城工場において本格稼働を開始したと発表した。
トマトソースなどの製造工程では、ダイス状にカットしたトマト(ダイストマト)に、トマトの変色部や皮、ヘタといった夾雑物が混入していないかを確認し、発見された場合は除去する。ダイストマトの夾雑物はトマト産地によって差があり、判別には集中力と熟練度が必要となる。カゴメはこの工程に同システムを導入した。
今回稼働開始した夾雑物除去システムでは、AIが画像判定でトマトの夾雑物を確認し、発見された夾雑物をロボットが除去する。
YE DIGITALのAI画像判定サービスは、画一でない対象物でも高精度で判定でき、しかも常に新しい汎用アルゴリズムを検証するので高精度を維持できる。また、ユーザー専用のアルゴリズムを作成することで検出精度が高まる。ロボットは安川電機製を採用し、システムエンジニアリングはロボット技術を活用したシステムの実績を持つ、安川電機グループの技術商社である末松九機が担当した。
AI画像判定とロボットを連携し、高い精度で夾雑物を除去するには、座標データをロボットに的確に伝達することが必要になるが、位置精度や同期など技術面での難易度が高い。今回、YE DIGITALは末松九機と協力して、AI画像判定サービスとロボット、コンベヤーを連携し、高速ピッキングを可能にした。
夾雑物除去システムを導入前に検証したところ、トマトの産地を問わず、判別モデル1つで夾雑物を高精度に検知し、ユーザー側の運用の手間を削減できることが分かった。また、除去した夾雑物を分類して、発生状況を可視化し分析することにより、夾雑物の混入削減にもつながることが確認できた。カゴメは、将来的な労働不足解消や持続可能な製造現場の構築に、同システムを活用する。
YE DIGITALは今後、AIエンジンのアップデートやAIとロボットにおける新しいアルゴリズムの開発に取り組んでいく。
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