NVIDIAが、企業のデータセンター上でNVIDIA製GPUを用いたAIの開発環境を容易に運用できるようにするソフトウェアスイート「NVIDIA AI Enterprise」を正式リリース。VMwareの仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」に対応することで実現した。
NVIDIAは2021年8月24日(現地時間)、さまざま産業分野の企業がITインフラとして保有するデータセンター上で、NVIDIA製GPUを用いたAI(人工知能)の開発環境を容易に運用できるようにするソフトウェアスイート「NVIDIA AI Enterprise」を正式リリースしたと発表した。VMwareの仮想化ソフトウェア「VMware vSphere」に対応することで、多くの企業がITインフラとして運用するデータセンターや、パブリッククラウドと組み合わせたハイブリッドクラウドなどでAI開発のためのワークロードを運用できるようになる。価格は、1CPUソケット当たりの年間サブスクリプションライセンスは2000米ドル(約21万9000円)、サポートを別途購入する必要がある永久ライセンスは3595米ドル(約39万4000円)となっている。
NVIDIA AI Enterpriseは、デル(Dell Technologies)やHPE(Hewlett Packard Enterprise)、レノボ(Lenovo)などの主要ベンダーが提供するNVIDIA認証システムのサーバで利用できる。正式リリース版となる「NVIDIA AI Enterprise 1.0」では、機械学習フレームワークである「TensorFlow」や「Pytorch」、NVIDIAが提供する「NVIDIA RAPIDS」「NVIDIA Tensor RT」「NVIDIA Triton Inference Server」などのAIやデータサイエンス向けのツール群、コンテナのオーケストレーションツール「Kubernetes」との連携に用いる「NVIDIA GPU Operator」「NVIDIA Network Operator」、インフラ最適化向けの「NVIDIA vGPU」「NVIDIA Magnum IO」「NVIDIA CUDA-X AI」などがパッケージされている。
そして、これらのソフトウェアは全て、VMware vSphereと、VMware vSphere上でKubernetesを運用するために開発された「VMware Tanzu」による仮想化環境での動作が保証されている。
NVIDIAとVMwareは2020年9月、企業向けインフラ上でのAI活用に向けた統合ソリューションの開発を共同で推進することを発表。2021年3月にはソリューションの名称が「NVIDIA AI Enterprise」となることを明らかにし、同年6月には主要ベンダーがNVIDIA AI Enterpriseに対応するサーバの認証を進めていることを表明していた。
NVIDIA エンタープライズ コンピューティング統括のマヌバー・ダス(Manuvir Das)氏は「NVIDIAのGPUやソフトウェアを活用し、AI開発で成功を収めている企業の数は既に数千社に達している。AIは現実的なものとなり、その価値を多くの企業が世界中で証明している。しかし、AI開発環境の導入は容易ではなく、特に企業のITインフラと連携させることは難しいという課題があった。NVIDIA AI Enterpriseがこの課題を解決してAIを“民主化”し、AI開発で成功する企業の数も現在の数千社からさらにその数百倍に増えるだろう」と述べている。
なお、NVIDIA認証システムのサーバは、デル、HPE、レノボの他に、AtoS、Inspur、GIGABYTE、Supermicroなどが提供を予定している。また、NVIDIA AI Enterpriseの販売代理店はNVIDIAのチャネルパートナーが務めるという。
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