第三角法における正面図のことを「主投影図」と呼びます。この主投影図には、最も多くの情報が含まれており、その製品や部品の特徴を一番よく表しています。そして、主投影図には次のようなルールがあります(筆者解釈)。
これらは、2D図面を作成する際のルールとして運用されていますが、3D CADでパーツを設計(3D図面を作成)する場合はどうすべきでしょうか。装置設計を例に説明していきます。
装置設計を行う場合、1つの装置内には複数の「ユニット」といわれる機能の“カタマリ”があります。ツリー構造で示すと次のようなイメージです(図8)。
この例において、筆者の考える理想的な“向き”とは、装置の総組図−ユニット−サブアセンブリ−パーツのそれぞれの3平面(正面/平面/右側面[側面])の向きが一致している状態を指します。その方が、装置の全体像を理解しやすいのではないかという考えです。3D図面から2D図面を作成する場合、その部品の機能や加工方法などを表す上で、主投影図を選択しますが、3D CADで3Dモデルを設計するときも、構成要素それぞれの3平面の向きを一致させるようにするとよいでしょう。最後に、実際のイメージを図9、図10に示します。
図9はアセンブリとサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している状態、図10はサブアセンブリ、パーツの3平面方向が一致している状態を表しています。
SOLIDWORKSでは、ユニット設計者がパーツ設計を行いながらアセンブリを構築します。このとき、ほとんどの場合がパーツとして単独で存在する形で作成します(仮想構成部品の形式で、アセンブリ内のパーツとして存在することもあります)。また「iCAD SX」では、内部パーツとして作成し、その後、外部パーツとして保存を行うこともできます。筆者の一案ですが、3Dモデリングの設計手法的な話にもなりますが、分かりやすいパーツ設計とアセンブリ設計を考えた場合、“モデルの向き”というものも重要な要素だと考えます。
パーツやサブアセンブリの流用においては、全てに当てはまるわけではありませんが、設計基準を定める3D CAD運用ルールの中で、JISで規定されている第三角法を理解することは、2D/3Dにかかわらず分かりやすい図面の作成に大いに役立つといえます。
次回は、3D CADから2D図面化する際のJIS製図について解説します。お楽しみに! (次回へ続く)
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