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» 2021年04月26日 06時30分 公開

ブルーヨンダーはCNS社の“専鋭化”に必須、パナソニックが7650億円で買収製造マネジメントニュース(2/2 ページ)

[朴尚洙,MONOist]
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将来的な「オートノマスサプライチェーン」の実現へ

パナソニックの樋口泰行氏 パナソニックの樋口泰行氏 出典:パナソニック

 パナソニック 代表取締役専務でCNS社 社長の樋口泰行氏は「ブルーヨンダーは、世界最大のサプライチェーンソフトウェア専門企業であり、製造、物流、流通というサプライチェーンの上流から下流まで全体をカバーする点でユニークだ。顧客基盤は3000社以上あり、各業界の有力企業を顧客にするなど、顧客接点の厚みが魅力でもある。そして、この顧客基盤の厚さが製品の強みにつながっている」と強調する。

 CNS社はブルーヨンダーとの間で2018年から関係強化を進めてきた。「ブルーヨンダー CEOのギリッシュ(・リッシ氏)の経営哲学が、パナソニックの経営哲学と相通じるものがあり、松下幸之助の考えにも共鳴するなどして、そこから関係が強まってきた」(樋口氏)。

ブルーヨンダーの強みは顧客基盤の厚さにある ブルーヨンダーの強みは顧客基盤の厚さにある(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 そして、2019年11月に日本市場向けに工場、倉庫、流通業向けSCMソリューションを提供する合弁企業を立ち上げ、2020年7月にはパートナーシップをさらに拡大するために20%出資するなど、これらの協業を通じて両社の親和性やシナジー創出の可能性の手応えが得られたとしている。樋口氏は「M&Aの成功にはシナジーもあるが、人間と人間の相性を含めたカルチャー的な親和性の高さも重要だ。その点で両社の親和性は極めて高い」と述べる。

パナソニック CNS社とブルーヨンダーは関係強化を積み重ねてきた パナソニック CNS社とブルーヨンダーは関係強化を積み重ねてきた(クリックで拡大) 出典:パナソニック

 CNS社とブルーヨンダーの融合の先にあるものとして樋口氏が挙げたのが「オートノマスサプライチェーン」だ。サプライチェーンの上流から下流まで、現場のエッジデバイスやセンサーと上空のソフトウェアが自律的に連携し、自動運転のようにサプライチェーン最適化されオペレーションが自動で実現するというもので、「ブルーヨンダーの100%子会社化はこのオートノマスサプライチェーンの実現に向けた第一歩になる」(同氏)としている。

「オートノマスサプライチェーン」のイメージ 「オートノマスサプライチェーン」のイメージ(クリックで拡大) 出典:パナソニック

ブルーヨンダー買収による短期間での相乗効果は期待せず

 会見では、CNS社の現場プロセスソリューションの将来展望に向けてブルーヨンダーの買収が必要であるという説明がなされたが、直近の相乗効果についてはあまり大きなものは期待していないようだ。楠見氏は「CNS社、そして持ち株会社制移行後のパナソニック コネクトの傘下で、短期間で相乗効果を得られるとは考えていない。しかし、将来成長を考えれば買収するしかないと考えた」と説明する。

 ブルーヨンダーの買収で、より早期に効果が見込めそうなのが、パナソニック自身のSCMの高度化になるだろう。その先行事例となるのが、ノートPC「Let's note(レッツノート)」などを手掛けるCNS社傘下のモバイルソリューションズ事業部である。同事業部はサプライチェーン計画系ソフトウェア「S&OP」を導入するなどして、「顧客満足度の向上」や2017年度比で10%以上の在庫ロス削減を目標とする「在庫・廃棄ロスの削減」、納期順守による「販売増」などに取り組んでいる。これと同様の取り組みを、パナソニックグループの各事業の現場に適用し「ムダと滞留を取り除く効果を期待している」(楠見氏)という。

パナソニックの原田秀昭氏 パナソニックの原田秀昭氏 出典:パナソニック

 CNS社とブルーヨンダーは2018年2月から協業を開始したが、より関係を深めるきっかけになったのは、2019年11月の合弁会社の設立と、モバイルソリューションズ事業部でのSCMソリューション導入だった。パナソニック CNS社 上席副社長の原田秀昭氏は「合弁会社の設立で日本企業向けにSCMのパッケージを販売する中で、多くの顧客が根本的なサプライチェーン改革を必要としているという手応えを感じた。そして、モバイルソリューションズ事業部では、ROI(投資利益率)の効果もさることながら、抜本的なプロセス改革ができ、この成果を顧客の現場に反映できるという実感を持てたことが大きかった」と語る。

 パナソニックをはじめ国内製造業による大型買収の成功例は少なく、今回のブルーヨンダーの買収でも同様の危惧を抱く向きも多い。樋口氏は「まず、ブルーヨンダーの経営がおかしくなるようなことは絶対にしないようにする。それでは何のために買収したか分からない。これまでブルーヨンダーの親会社は投資会社であり、企業の方向性が異なる側面もあったかと思うが、パナソニックとブルーヨンダーはサプライチェーンの革新という意味では同じ思いを抱いているので、自然と相乗効果を生み出せるはずだ。同じ思いを抱くということを実践する意味も含めて、グローバルに顧客基盤を持つブルーヨンダーの本社をインターナショナル拠点と捉えて、年間の半分くらいは行くようにしたい」と買収の成功に向けた意気込みを述べている。

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