「部品を作る」といっても単純ではない!? パーツ製作で知っておくべきポイントアイデアを「製品化」する方法、ズバリ教えます!(5)(3/4 ページ)

» 2021年03月18日 10時00分 公開
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金型を製作する際のポイント

 一般的に、量産部品の製造には金型が必要だ。金型はとても高価であり、製作に時間がかかる。例えば、PC用マウスほどの大きさの樹脂部品(1つ)にかかる金型費用は150万〜200万円ほどで、金型の製作期間については1.5カ月程度見ておく必要がある。金型費用は、部品の複雑さと部品の深さによって大体決まってくる。金型は、鉄の塊を削って製作するため、削る時間が長ければ費用も高くなる。もちろん、金型の材質も影響する。金型の製作期間は長いため、製品化の日程に与える影響も大きい。よって、日程作成に当たっては、金型製作期間をどう扱うか工夫が必要となる。

 最近では、金型を3Dプリンタで製作することも可能だ。金型は多くの部品で構成されているため、3Dプリンタで金型を製作すると部品点数の削減が見込め、それに伴い製作期間の短縮、製作コストの削減も期待できる。3Dプリンタを活用した金型製作の技術は日々進化しているため、製作費用や製作期間などを十分に調査した上で活用を検討したい。

 金型は一般的に製作を依頼した会社の固定資産になるため、予算が決まっている場合が多い。従って、金型製作費用の見積金額が予算以下であれば、コストダウン交渉をすることはあまりない。一方、部品コストは製品価格の利益に直結してくるため、依頼側は部品コストには敏感である。そうしたことから、部品メーカー経由で金型を発注する際、まれにではあるが、金型製作費用を通常よりも高く、部品コストを通常よりも安く見積もって、受注しようとする部品メーカーもあるので注意したい。

 樹脂部品の量産の場合、金型を製作することがほとんどだが、板金部品の場合は、金型を作るか否かは、量産が終了するまでの予定する総量産個数によって判断する。金型費用が200万円で、部品の総量産個数が1万個であった場合、部品コストに200円が加算されたのと同じことになる。前述したタレパン加工機やレーザー加工機で部品を製作すれば、金型費用はかからないが、これらの加工機で作られた部品はコストが高い。よって、「金型費用+総量産個数×部品コスト」を計算して、金型を作るか否かの判断を行う必要がある。品質に関しては、金型を製作した方が安定する。金型を用いるか否かの判断基準は企業によってさまざまだが、筆者はロットが平均して約300個以上で、2〜3年作り続ける場合は、金型での量産にすべきだと考える。

 前述した通り、金型を製作する場合は、部品形状がそれに適応している必要がある。そのため、依頼側の設計者は、金型メーカーと部品メーカーと綿密に打ち合わせをしなければならない。特に樹脂部品の場合は、テーパ、パーティングライン、ウェルドライン、ヒケ、肉厚、バリ、エジェクターピンの位置、ゲートの形状とその位置など、取り決めるべき事項が多い(図4)。大きくて複雑な部品になると、3〜4時間の打ち合わせになる場合もある。板金部品の場合は、樹脂部品と比較して取り決め事項は少ないが、部品メーカーの技術的な考え方や保有する装置によって形状が変わるため、いずれにしても金型打ち合わせは必須である。使用する金型メーカーは、部品メーカーの付き合いのあるメーカーでもよいし、依頼側が指定してもよい。

樹脂部品は金型/射出成形メーカーとの取り決め事項が多い 図4 樹脂部品は金型/射出成形メーカーとの取り決め事項が多い [クリックで拡大]

 ちなみに、金型メーカーに対し、樹脂の部品メーカーは射出成形メーカー、板金の部品メーカーはプレス成形メーカーという。

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