一方で、多画素化し信号処理量が増加すると、一般的にはフレームレートが低下し、読み出しに時間がかかる課題が生まれるが、「IMX661」では機能を搭載したチップを画素ウエハー上に積層するChip on Waferプロセス技術を採用した独自のデバイス構造で、ADコンバーターを最適に実装することで、センサーサイズを大きくすることなく、処理能力を向上させることに成功した。加えて、出力インタフェースを高速化するため、独自開発したエンベデッドクロック方式の高速インタフェース規格「SLVS-EC(Scalable Low Voltage Signaling with Embedded Clock)」を採用。これら2つの独自技術で、従来比約4倍の出力データレートとなる1億2768万画素10ビット、21.8fpsの高速読み出しを実現している。
高速検査などにおける撮像タイミングを制御するトリガー同期機能や、必要な領域のみを読み出すことで後段信号処理の負荷を軽減するROI(Region of interest)、データ量を削減しつつ必要な情報を出力する階調圧縮、移動体の軌跡を検知可能な多重露出、高速移動体をブレなく撮像する短時間露光、低照度時に感度を高めることが可能な画素加算読み出しなど、産業機器向けCMOSイメージセンサーに求められるさまざまな信号処理機能も搭載。多様な用途やニーズに対応する。
300m先を15cm間隔で測定可能、ソニーがSPAD画素の車載用積層型TOFセンサー開発
ソニーは2021年2月18日、SPAD(Single Photon Avalanche Diode)画素を用いた車載LiDAR(Light Detection and Ranging、ライダー)向け積層型直接Time of Flight(dToF)方式の測距センサーを開発したと発表した。車載LiDAR向け積層型測距センサーとしてSPAD画素を用いたのは「業界初」(ソニー)だという。