特集:IoTがもたらす製造業の革新〜進化する製品、サービス、工場のかたち〜
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» 2021年03月09日 10時00分 公開

IoTデバイスにも必須の「技適」とは何か、どんなデバイスを選ぶべきか経験ゼロから始めるIoTデバイス入門(後編)(2/3 ページ)

[横田峻(ソラコム),MONOist]

技適マークの示す情報とは

 技適を取得したデバイスには、必ず技適マークと認証番号を表示する必要があります。スマートフォンやノートPCの技適マークを見てみると以下のように2つの番号が記載されています(図3)。

図3 図3 技適マークについている2つの番号(クリックで拡大)

 実はこの2つは技術基準適合“認定”と技術基準適合“証明”を示す番号となっており、非常に名前がよく似ているのですが全く違う証明を示しています。

電気通信事業法に関係する技術基準適合“認定”

 四角に囲まれたTから示される番号は「技術基準適合認定」と呼ばれる認定制度の番号です。この認定制度は電波法ではなく、「電気通信事業法」に基づいて定められています。電気通信事業法とは携帯電話会社や固定電話回線業者のように通信ネットワークを運用し、通信サービスを提供する事業者や利用者に対して、公正な利用を促進するための法律です(図4)。

図4 図4 電気通信事業法に関わるデバイス(クリックで拡大)

 この技術基準適合認定は、技術基準適合証明と違い、取得していないからといって違法となるわけではありません。しかし、ほとんどの通信事業者は約款などで自社のネットワークサービスに接続するデバイスには技術基準適合認定を受けていることを義務付けているため、この認証がないデバイスは通信事業者のサービスを利用できません。この認定は、あくまで電気通信事業法に基づく事業者のサービスを利用する際に必要となるものなので、例えばBluetoothのようなサービス事業者が不要の通信規格の場合、取得は不要です。

どんな内容で技適を取得しているか?

 四角に囲まれたRから示される番号が技術基準適合証明の認証番号になります。こちらが前述の電波法に基づく無線デバイスに必要な認証となっています。この番号は技術基準適合証明で取得した場合はデバイスごとに個別の番号が割り当てられ、工事設計認証で取得した場合は各デバイスには同じ番号が記載されます(図5)。

図5 図5 電波法に関わるデバイス(クリックで拡大)

 この番号は総務省の「電波利用ホームページ」から検索が可能となっており、そのデバイスがどんな認証を受けたかを確認することが可能です(図6)。

図6 図6 総務省の「電波利用ホームページ」における技術基準適合証明等を受けた機器の検索サイト(クリックでWebサイトへ移動)

技適は何に対する認定なのか

 デバイス関連の仕事をしているとよく技適についてアドバイスを求められる機会があります。その中でよくある質問が「電波が拾えるか不安だからおすすめの技適対応アンテナを教えてほしい」といったものです。ここで重要なのは、技適はアンテナや無線モジュール単体ではなく、「アンテナ」と「無線モジュール」のセットで取得するものだということです。

 前編でも述べたように、「アンテナ」と「無線モジュール」の組み合わせによってどのような電波が送受信できるかが決まり、その電波送受信能力を基に認証が行われます。そのため、例えばアンテナAと無線モジュールB、アンテナCと無線モジュールDの組み合わせでそれぞれ技適を取得できていたとしても、無線モジュールBにアンテナCを装着した場合、既にその組み合わせで技適を取得していない限りは新たに技適の申請が必要です。技適マークがついた無線モジュールであればアンテナは自由に変えても大丈夫と思ってしまいがちですが、ここはデバイスを扱う上で注意が必要です(図7)。

図7 図7 技適はアンテナと無線モジュールのセットで取得する必要がある(クリックで拡大)

試験的な無線デバイス利用に関する特例制度のご紹介

 ここまで無線デバイスを利用するために技適は必須と述べてきましたが、2019年11月20日から「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」がスタートしました。この制度は、技適がないデバイスであっても一定の条件の下、届け出をすることで180日間だけ利用が可能になるものです。

 例えば、海外で発売されている無線モジュールをテスト目的で国内で利用するケースだと、今までは個別に技適を取得する必要がありました。しかし、この制度を活用することで一時的な利用が可能となります。

 無線モジュールの採用を決めるに当たって重要なフィールドテストも、この制度を利用することで問題なく実施が可能となります。デバイス開発・選定において非常に有益な制度です。

 詳しい条件は以下の総務省のWebサイトから確認できるので、IoTデバイスを開発する際にはぜひご検討いただだければと思います。

⇒技適未取得機器を用いた実験等の特例制度

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