電子回路PCB基板用3DプリンタによるAME技術の応用例を公開:3Dプリンタニュース
Nano-Dimensionは、電子回路PCB基板用3Dプリンタによる、3次元電子回路基板印刷技術(AME)の新しい応用例を発表した。マイクロ波アンテナ、メタマテリアル、RF伝送路などへの応用例を公開している。
Nano-Dimensionは2020年9月12日、電子回路PCB基板用3Dプリンタによる、3次元電子回路基板印刷技術(Additive Manufacturing Electronics:AME)の新しい応用例を発表した。マイクロ波アンテナやメタマテリアル、RF伝送路などへの応用例を公開している。
同社の電子回路基板3Dプリンタは、これまでのプリント基板では難しかった3次元での導体印刷に対応する。立体的な導体回路を基板内部に形成し、高周波に対してさまざまな機能を搭載できる。
3Dプリンタ「DragonFly LDM」(クリックで拡大) 出典:Nano-Dimension
AME技術を活用することで、チューナブルアンテナの設計製造時に、パッドの必要なサイズと層間の距離を素早く調整して概念実証(PoC)の検討時間を短縮できる。パッドのサイズと層間の距離などを変更すれば、放射ビームの方向や強度も調整可能だ。また、同一バッチでさまざまな条件を印刷でき、最適化プロセスを短縮する。
チューナブルアンテナ応用例 出典:Nano-Dimension
他に、オムニアンテナや位相配列アンテナの設計にも応用できる。位相配列アンテナでは、第3軸の印刷が可能になることで、小さなパッドに接続した複数のコイルのように、アンテナエレメントに3Dタイプの小型化した部品を追加できる。各エレメントは送受信ユニットとして動作し、それらを組み合わせて位相配列構造を構成する。
Low Pass Filterへの応用では、AME技術により、高周波特性のコンデンサーの印刷が可能になる。マイクロストリップラインなどと組み合わせることで、回路へローパスフィルターなどを容易に組み込める。AME技術による印刷キャパシターの精度は+/−2%で、一般的なチップコンデンサーに比べて高精度になるという。
Low Pass Filter応用例(クリックで拡大) 出典:Nano-Dimension
ポスト壁ウエーブガイド(PWW)への応用では、AME技術により高周波伝送路としてPWWを容易に回路上に組み込めるため、RF信号伝送路の設計に対してより高性能な設計ができる。3次元的にPWWを重ね合わせることで、立体構造の伝送路の構築、高周波回路の小型化、高性能化が容易になる。
ポスト壁ウエーブガイド応用例(クリックで拡大) 出典:Nano-Dimension
さらに、AME技術による高精度の印刷キャパシターと印刷インダクタンスの組み合わせにより、小型の共振エレメントを基板内部に作り込める。共振エレメントの組み合わせで、さまざまな特性を持つメタマテリアルを作り出せる。電子回路基板上の回路部とメタマテリアル部は混在可能で、EMC対策や基板内蔵RFアンテナの指向性制御などが容易にできる。
メタマテリアルへの応用例 出典:Nano-Dimension
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