同業界内での転職が多かった自動車業界。だが最近は自動車業界から他の製造業にキャリアチェンジする人が増えつつある。変化の背景や現状、転職の可能性について、転職コンサルタントに話を聞いた。
自動車業界のエンジニアは、業界内で転職することが多い。しかし最近はその傾向に変化が見られ、自動車業界から他の製造業にキャリアチェンジする人が増えつつある。変化の背景や現状、転職の可能性について、自動車業界専門転職サイト「オートモーティブ・ジョブズ」を展開するクイックの人材紹介事業本部 自動車チーム マネージャー 関寺庸平氏に聞いた。
自動車業界専門転職サイト、オートモーティブ・ジョブズのデータによると、自動車業界経験者の同社への登録数は、最近増える傾向にあるという。「既に離職していて仕事を探している、あるいは転職を前提として活動しているという方より、漠然とした『不安』を感じて相談に来られる方が増えている。以前から製造業全体に不透明感がただよっていたこともあるが、コロナ禍の影響は大きい」と関寺氏は話す。
転職を考える背景にあるのは、空気感からの不安だけはない。新たな開発プロジェクトが急にストップしたり、今まで進めてきたことが中途半端なままペンディングになったり、投資する予定が延期になったり……ということが、リアルに起こっている。その結果、突然担当業務が変わったり、あまり得意ではない仕事をせざるを得なかったりして、会社や製品、技術に不安を感じているようだ。
このような心理状態なので、キャリアアップや年収アップなど、次のステップに進むための転職とは少々異なるケースもある。実際、次の仕事に関する具体的なイメージを特に持たないまま、「どこかありませんか」と相談する人も、ここ数カ月で顕著に増えているという。
自動車業界経験者の転職先にも変化が見られる。「自動車業界の方は、自動車が好きとか、日本の自動車にプライドを持っているとか、今起きている自動車の変化に関われることが面白いなど、自動車業界に何らかの魅力を感じていることが多い。そのためこれまでは、自動車業界内での転職が圧倒的だったが、2020年の春頃からそのトレンドが変化してきている」と関寺氏。同社のデータで2019年の4〜7月と比較すると、2020年は他の製造業に転職する人が約1.3倍に増加している。
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